★★★☆☆
あらすじ
家は隣同士で家族ぐるみの付き合い、職場も同じで一緒に車通勤していた親友が、突然成功して大金持ちになり、嫉妬するようになってしまった男。原題は「Envy」。
感想
同じような生活レベルだった友人が突然大金持ちになってしまい、複雑な気持ちを抱えるようになった男が主人公だ。しかし、その友人が成功後に建て替えた家が、ローマ帝国の貴族か、と言いたくなるような豪勢すぎる大豪邸だったのには笑ってしまった。元は同じような家の隣人だったのに、毎日そんな大豪邸を尻目に暮らす羽目になってしまった主人公の気分が塞いでしまうのはよく理解できる。
そしてその友人はとんでもなくいい奴だ。高級住宅街に引越さなかったのは親友である主人公とこれまで通りの関係を続けたかったからだし、豊かになった喜びを分かち合おうと何かとプレゼントまでしてくれる。急にマウントでも取ってくれれば嫌うことも出来るのに、これではそれも出来ない。逆にそんな友人を疎ましく思ってしまう自分に嫌気がさし、ますます落ち込んでしまう。
そんな主人公の嫉妬心ややるせなさが面白おかしく描かれていくのだが、それよりも、いい奴すぎる人間は面倒くさい、ということばかりが伝わってくるような映画だった。こういう「いい奴」とずっと付き合っていくのにはどうすればいいのだろうかと、見ている間ずっと考えてしまった。結論としては、自分も彼と同じくらいのいい奴になるか、反対にとんでもない悪人になるしかなさそうだ。結局人間は、経済レベルや人間的なレベルが同等の人間と付き合うのが気楽なのだろう。
ジャック・ブラック演じる成功した友人の無邪気な成金ぶりや、クリストファー・ウォーケン演じる謎の男の奇妙な変人ぶりは面白かったが、全体的には笑えるシーンは少なく、物足りなさが残った。共同出資を断ってしまった後悔や友人に対して嘘をついている後ろめたさなど、主人公が嫉妬以外の感情をたくさん抱えており、彼の言動が単純に「嫉妬」から来るものだと笑えなかったのも大きい。
映画の途中で、友人の発明品により消されたものはどこへ行ったのだ?というくだりがあったので、ラストにそれがどこかに山盛りになって現れるのかなと想像していたのだが、そんなことは起きずにしっかりと論理的なオチが用意されていたのは意外だった。案外と真面目だった。
スタッフ/キャスト
監督/製作 バリー・レヴィンソン
出演 ベン・スティラー/ジャック・ブラック/レイチェル・ワイズ/エイミー・ポーラー/クリストファー・ウォーケン
音楽 マーク・マザースボウ