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「バリー・シール/アメリカをはめた男」 2017

バリー・シール/アメリカをはめた男(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 CIAの仕事をするよう持ち掛けられたパイロットの男、バリー・シールは、やがて中南米の各組織とも仕事をするようになり、巨万の富を手に入れる。実話を基にした作品。原題は「American Made」。

バリー・シール - Wikipedia

 

感想

 CIAに仕事を持ちかけられたことをきっかけに南米に行くようになり、やがて現地で知り合った反政府組織や麻薬密売組織とも仕事をするようになっていった男の物語だ。自国の政府と内密の仕事をしているというのに、さらに現地のヤバそうな組織とも次々と仕事をしてしまう主人公の節操のなさがすごい。

 

 ただ、彼が率先してそのような仕事を取っていったというよりも、相手が彼のパイロットとしての腕や仕事の経験を見込んで声をかけてきたというのがほとんだ。主人公はただ流れに身を任せていただけといえる。だがそれでもビビることなく、引き受けてしまう大胆さがすごい。

 

 

 演じるトム・クルーズが、ヤバくても最高の笑顔を見せておけばだいたい大丈夫でしょ、みたいな自信や鈍感さを感じさせるキャラクターなので、この怖いもの知らずの役柄にぴったりとハマっている。おいしい話があったらとにかく積極的に乗っていく貪欲さやエネルギッシュさも彼と相通ずるものがある。

 

 次々と仕事をこなすうちに主人公はどんどんと金持ちになっていく。最終的には金を隠す場所がもうなくて困る、みたいなレベルになっていて笑ってしまった。いくつも会社を作るもマネーロンダリングが全然追い付かないレベルだ。それを政府の後ろ盾の中でやっているのだから、まさにアメリカという国家を手玉に取ったと言える。

 

 主人公は何度か危険な状況に追い込まれることもあったが、各所に深く食い込み過ぎているがために、誰もうかつに手を出せない。彼にはまだ利用価値があると考える人間も絶えない。結局なんだかんだで無事な彼の姿を見ていると、やると決めたらとことんやるのが大事なのだなと痛感する。中途半端な関わり方しかしていなかったら、あっさりと消されていたかもしれない。

 

 主人公はアメリカを利用して大きな力を手に入れたわけだが、それは結果論で、彼の本質はただのスリルを求める飛行機乗りなのだろう。打算があってやっていたわけではなく、面白そうだからとやっていたらこうなってしまった。終盤、身の危険を感じていたにもかかわらず、決して逃げたり隠れたりしようとはしなかったところにもそれは窺える。どこかでじっとしているよりもスリルを感じながら生きていたい、たとえそれで死んでも構わない、という覚悟が見えた。彼は平和な世の中よりも、有事の時の方が生き生きとするタイプなのだろう。

 

 テンポよく進行し、少しややこしい事情も簡潔に説明してくれて、小気味よく見られる映画だ。ユーモアもある。現実にこんな人間がいたのかと、感嘆しつつ楽しめた。この人物も彼を生み出してしまったアメリカも、色んな意味ですごい。

 

スタッフ/キャスト

監督 ダグ・リーマン

 

出演

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ドーナル・グリーソン/ジェシー・プレモンス/ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ/ローラ・カーク/ジェイマ・メイズ/ベニート・マルティネス

 

音楽 クリストフ・ベック

 

バリー・シール/アメリカをはめた男 - Wikipedia

 

 

登場する人物

バリー・シール/パブロ・エスコバル/オリヴァー・ノース/ジョージ・W・ブッシュ

 

 

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