★★★☆☆
あらすじ
選挙や重要法案の採決を控えて多忙を極める中、下院議員の男は妻と共に弟夫婦を豪華レストランのディナーに招待する。
感想
議員の夫妻と弟夫婦が豪華レストランでディナーをする物語だ。ただし最初から和気あいあいとした雰囲気はなく、不穏な空気が漂っている。議員の男が多忙にもかかわらず、なぜ無理して夕食会を開催するのか、その目的を観客に知らせないまま、ディナーはスタートする。食事が進む中でそれらが次第に明らかになっていく仕組みだ。
だが、思っているよりも新たな情報が出てくるタイミングが遅く、テンポが悪くてフラストレーションが溜まる。その間に見せられるのはなにかと話を遮り、すぐに席を外してしまうメンバーたちのわがままな振る舞いだ。まともな会話すらほとんど交わされず、ただ時間だけが過ぎていく。ちゃんとした会話すら出来ないのかとイライラしてしまう。
結局彼らは、子供たちが起こした問題について話し合うために集まったことが判明するのだが、ようやく本題に入った後の皆の言い分が酷くて呆れてしまった。子供たちがやったことは親でもドン引きしてしまうのではないかと思ってしまうような胸糞の悪い所業で、まったく擁護できるようなものではなかったのだが、それでも親たちは必死に子供たちの行いを正当化して責任を逃れさせようとする。子供を守りたい親心は理解できるが、さすがにその姿は醜悪すぎて気分が悪かった。
この映画は、そんな人間の醜い部分を描こうとしているのだろう。だから間違ってはいないのだが、不愉快な出来事が単発でいくつも起きているだけで、それらが積み重なることで大きなうねりが生まれていくような、効果的な物語構成にはなっていない。このタイプの映画でも、見えごたえがあって満足感が得られるものがあるはずだが、この映画はただただ気分が悪くなるディナーの様子を見させられただけのような気がしてしまう。面白くなりそうな雰囲気が漂っていただけに残念だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 オーレン・ムーヴァーマン
原作 冷たい晩餐
出演
スティーヴ・クーガン/ローラ・リニー/レベッカ・ホール/クロエ・セヴィニー/チャーリー・プラマー/シーマス・デイヴィー=フィッツパトリック