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「ユリシーズ」 1954

ユリシーズ (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 トロイ戦争を終えた英雄ユリシーズは帰国の途に着くが、様々な困難が彼の前に立ちはだかる。イタリア映画。

 

感想

 主人公が帰国の途中に遭遇した出来事が描かれていく物語。数ある出来事の中では、単眼の巨人ポリュペーモスとの出来事を描くエピソードが良かった。巨人の造形がよく出来ていて、手作り感のある映像にはCGにはない味がある。そして単純にカメラのアングルを見上げるように撮ったり、見下ろすように撮ったりしているだけなのに、ちゃんと巨人と対峙しているような映像になっている。映画ならではのワクワクが感じられるシーンだった。

 

 話の展開もよく出来ていて、主人公のいない現在の故国の様子、続いて現在の主人公が描かれて、それから過去に何があったのかが描かれていく構成。自然と物語に引き込まれてしまう。数々のエピソードもどれもバラエティに富んでいて飽きさせない。

 

 

 終盤の記憶を取り戻した主人公が帰国したいと申し出た時、割と複雑な状況だったのに、彼を保護していた国王が意外とあっさりそれを認めたり、帰国した主人公が変装して現れたのに妻が全然気づかなかったりと、訝しく思ってしまう場面もない事はなかったが、このあたりは昔の話だからと許せてしまう。おとぎ話的雰囲気がある。

 

 観る前は古い映画だし、つまらないかもしれないなと少し不安だったのだが、それが杞憂に終わる楽しめる映画だった。これは原作の面白さによるところが大きいのだろう。さすが長年語り継がれてきた作品だけのことはある。見事だと感じた話の構成もほぼ原作を踏襲しているだけのようだ。なんだか俄然、原作に興味が湧いてきた。セイレーンの魔女の話など、何となく知っているエピソードはいくつかあるが、ちゃんと原作を読んでみたくなった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 マリオ・カメリーニ

 

脚本 フランコ・ブルザーティ/エンニオ・デ・コンチーニ/ヒュー・グレイ/ベン・ヘクト/イヴォ・ペリリ/アーウィン・ショー

 

原作 ホメロス オデュッセイア 上 (岩波文庫)

 

出演 カーク・ダグラス/シルヴァーナ・マンガーノ/アンソニー・クイン/ロッサナ・ポデスタ

 

ユリシーズ (字幕版)

ユリシーズ (字幕版)

  • カーク・ダグラス
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ユリシーズ (1954年の映画) - Wikipedia

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