★★★★☆
あらすじ
作戦を遂行していたチームだったが、途中で主人公が裏切り、敵の勢力に加わってしまう。
「ワイルド・スピード」シリーズ第8作。原題は「The Fate of the Furious」。
感想
任務を無事終えてチームが帰還する際に突如主人公が裏切り、敵勢力に加わってしまう。シリーズが長く続くと必ずある主要キャラが裏切る回だ。主人公が裏切るのは珍しいが、当然その裏にはやむを得ない理由がある事は予想できる。それでも中盤くらいまでは、映画に重苦しい雰囲気が漂ってしまっている。
だが主人公の裏切りの理由が明らかになり、いつもの無茶なカーアクションが連発し始める頃には、いつの間にかその重い空気は吹き飛んでいた。特に自動運転の車が一斉に襲いかかるシーンや空から車が降ってくるシーンはやり過ぎ感があって面白かった。笑いながら見ていたが、同様のやり方でドローンや武装車を駆使すれば、味方の犠牲者を出すことなく、ほぼノーリスクで軍事侵攻できてしまうなと怖くもあった。
今回は前回の敵役だったジェイソン・ステイサムが良かった。それまではいかにもヒールといった感じでしかなかったのに、終盤の見せ場で一気に魅力的なキャラクターとなる。子供といい感じで絡めば好感度が上がるということか。前にメンバーを殺したりしているのに、最終的には違和感なくチームに溶け込ませているプロットが巧妙だ。まるでかつての敵が次々と仲間に加わっていく少年漫画のようだ。
前作に登場したカート・ラッセル演じる政府の秘密組織の男が再び登場し、さらに新キャラとして若い部下も加わって、謎の組織のもとで活動するチーム、みたいな映画のかたちみたいなものが見えてきた。車好きばかりだったメンバーも少しずつ入れ替えが進み、多様性が出始めている。
シリーズが仕上がってきている感があるが、逆に考えれば、8作目にもなってまだフォーマットが出来上がっていなかったというのがすごい。つまりはまだ試行錯誤中で、当然マンネリもまだない。なんだか元々はクイズ主体でやっていたのに、トライ&エラーを繰り返すうちにいつの間にかトーク番組になってしまっていたりするテレビのバラエティ番組みたいだ。継続する事と試行錯誤する事の大事さを教えてくれる。未完であることは強みかもしれない。
中盤までは重苦しさに少し辛抱を強いられるが、それを乗り越えたら楽しめる映画だった。
スタッフ/キャスト
監督 F・ゲイリー・グレイ
製作/出演 ヴィン・ディーゼル
出演 ドウェイン・ジョンソン/ミシェル・ロドリゲス/タイリース・ギブソン/クリス・“リュダクリス”・ブリッジス/ナタリー・エマニュエル/スコット・イーストウッド/カート・ラッセル/エルサ・パタキー/シャーリーズ・セロン/クリストファー・ヒヴュ/オレク・クルパ/テゴ・カルデロン/ドン・オマール/ルーク・エヴァンズ/*ヘレン・ミレン
*ノンクレジット
ワイルド・スピード ICE BREAK - Wikipedia
関連する作品
前作 シリーズ第7作
次作 シリーズ第9作
スピンオフ作品