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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「火宅の人」 1986

火宅の人

★★★★☆

 

あらすじ

 中年の作家が、妻と子供を残し愛人と共に暮らし始める。

 

感想

 愛人と暮らす生活の中で色々とあり、主人公の作家は旅に出かけるのだが、この旅のシーンがいい。想像するような旅行鞄にカジュアルな服装で小粋な宿に泊まり名所を巡る、といった旅行ではなく、必要なものを鞄に詰め込んで、あてどなく時には大自然の中を、時には人々の生活する漁村などを歩いて回り、使われていない小屋があればそこで、無ければ野宿というまさに旅行というよりも旅。

 

 一人旅ではなく、女性を同伴させているところがこの人らしいが。今ではこんな放浪の旅をしたくてもなかなかできないだろう。野宿をしている人なんて都会の公園ぐらいでしか見られない。

 

 

 家族を残し愛人と暮らす作家だが、家族ともどこか不思議な関係を保っている。愛人が出来た時は奥さんに宣言し、家を出たあとも時々家に戻ってくる。そしてどこか出張にでも出かけるような様子で出かけて行く。

 

 そして愛人との関係を綴った小説の代筆を妻に行わせたりまでもする。この時の妻の心中はどんなものだったのだろう。時々小説の内容に文句を言ったりして和やかな様子ではあったが。世の中には夫婦の数だけ夫婦の形があって、当事者がそれで納得しているなら外野がとやかくいう事ではない、ていうありきたりな感想しか出て来ない。

 

 ここに登場している女優たちはなかなか体を張っている。単に脱げばいいというものでもないのだろうが、「女優」という感じがする。こういう姿も描写することで綺麗ごとだけではない、女の情念の生々しさが浮かび上がってきている。

 

スタッフ/キャスト 

監督/脚本 深作欣二

 

原作 火宅の人(上) (新潮文庫)

 

出演 緒形拳/いしだあゆみ/原田美枝子/松坂慶子/真田広之/岡田裕介/檀ふみ/石橋蓮司/井川比佐志/荒井注/下條アトム/蟹江敬三

  

音楽 井上堯之

 

撮影 木村大作

 

火宅の人

火宅の人

  • 発売日: 2019/07/12
  • メディア: Prime Video
 

火宅の人 - Wikipedia

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