★★★★☆
あらすじ
高校時代、同級生と共に自殺を図って世間を騒がせた女性と、他人との接触を恐れて子供を連れ公園を彷徨う主婦が出会う。直木賞受賞作。
感想
主婦も大変だ。子供を持っている同士、同じ共通点で知り合いになれるかもしれないが、実は共通点はそこしかなかったりする。旦那の収入も違うし、子供の教育方針も違う。同じ年頃の子供たちを持つ親と知り合いになれて安心するが、やがて互いの違いが気になりだす。
平日昼間の喫茶店では軽自動車ばかりが停まって、母親たちが集まっていたりするが、店内ではやっと見つけた輪の中からはみ出さないように、互いに顔色を窺いつつ心を砕いているのかもしれない。
主婦に限らず世の中、価値観や共通点がぴったりしている人などそういない訳で、みんな互いに何か違和感を感じながらも集まっている。そういった小さな輪の中で、互いに感じているだろうちょっとしたズレに敏感な人はかなり生きにくいだろう。だからといって完全に距離をとることもできない人は、特に。
だけどこういった人との付き合いというのは、その時に互いに必要な人と付き合っているだけでしかない。あんなに仲良くしていた友人とも久しぶりに会ってみると何も話すことが無かったり、話してもつまらなく感じてしまったりする。だから親友が何十人もいる人はいないわけで。
そういったある意味割り切った考え方で人と付き合うことが出来れば、ストレスなく過ごせるのだが、それがなかなか難しい。
著者