感想
チョコレートが保守的な町を変える。と言ってもコンビニで売られているチョコレートぐらいしか食べたことない人間には、チョコの奥深さがよく分からない。ただ、食べ物で人々が幸せになるという感覚は良くわかる。おいしいものを食べてる時はみんな良い顔をしている。それでも肉料理とかにチョコをかけてそれがおいしいとか描写されるとなぜか動揺。カルチャーギャップだ。それはコンビニのチョコじゃないと頭では分かるのだけれども。
それから分からないというか実感できないのは、欧米に見られる宗教観。集団に道徳や規律をもたらす役割を担っているのだろうが堅苦しすぎる。実際、本当のところはどうなのだろう。息苦しさを感じていたのだろうか?
この映画の中では皆の模範となるべき態度を取っていた村長が、逆に煙たがられてしまっている。確かに自分だけおいしい思いをするわけではなく、誰よりも自分を律している姿は尊敬に値するが、あまりに正しすぎて周りの人間は引け目を感じてしまう。さらにその価値観を当然のように他人にも期待されるとそれは違うだろうと。やはり、人間は羽目を外すことも大事だ。
ジョニー・デップのまるで演技をしていないかのような演技と、そして強がりながらも孫を思う優しさも持つジュディー・デンチの存在感のある演技が素晴らしかった。
自由な雰囲気のジュリエット・ビノシュ演じる女性が町の人々に少しずつ変化をもたらしていく過程はなんだかいい気分にさせてくれる。町の人々に疎まれて悩んだりもするが、次第に受け入れられて移動を続ける彼女をとどまらせることになるラストの北風の中の言葉は気が利いてるなと。
あんなに自分を律していた村長が、気にかけていた女性が意に反する行動を取ったぐらいでキレちゃうかなとか、みんなに受け入れられたかったらジュリエット・ビノシュも教会ぐらい義理で参加すればいいのにとか思わなくもないが。
スタッフ/キャスト
監督 ラッセ・ハルストレム
製作 デヴィッド・ブラウン/キット・ゴールデン/レスリー・ホレラン
出演
ジュリエット・ビノシュ/ヴィクトワール・ティヴィソル/ジュディ・デンチ/キャリー・アン・モス/アルフレッド・モリーナ/ヒュー・オコナー/レナ・オリン/ピーター・ストーメア/レスリー・キャロン/ジョン・ウッド
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