★★★☆☆
あらすじ
テロリストに狙われる石油王の娘を警護することになったジェームズ・ボンド。シリーズ第19作目でピアース・ブロスナン版の第3作目。
感想
冒頭はボートを使ったアクション。水上のアクションはあまり面白みのあるものにならないので期待していなかったのだが、途中からその想像を超えてきて見ごたえがあった。今回はこの他にも水中だったり雪上だったりと少しひねりのある場所でのアクションが多い。
そしてアクション同様、ストーリーにもひねりを効かせている。ただそのせいで複雑となり、分かりづらいものとなってしまった。そもそも石油王が機密文書入手のために使った大金の返金を、主人公が受け取りに行くという冒頭のシーンからして分かりづらく、いきなり混乱してしまう。こんな風にすぐには理解しづらい入り組んだ事情のものが多く、中でも上司を拉致された主人公が何を根拠にすぐにイスタンブールに向かおうと思ったのかは、何度考えても全然わからなかった。単なる直感だったのか。
それから今回は悪役の登場が遅すぎた。早めに名前が挙がり、どんな人物なのかの説明もされるのだが、ご本人登場はそのだいぶ後。それまでに既に色々な事件が起きているので、なんだか現場に遅れてやってきた人みたいな場違い感が出てしまっていた。それまでの事件は彼が指示していたとは言え、どうにも影が薄い。このあたりは存在感高めのソフィー・マルソー演じるボンドガールとの兼ね合いがあったのかもしれないが、おかげでラストの主人公との直接対決も気分的に盛り上がれなかった。
後に判明した悪役とボンドガールの関係を考えると、なんのために雪山で襲撃したのだ?とか、釈然としない事が多いストーリー。じっくりと検証をすれば整合性がとれているのかもしれないが、直感的には理解できずにモヤモヤを抱えたまま観ることになり、どうにも心が落ち着かない。変わったことをしようとしすぎて全体的にややこしくなってしまっている印象だ。
スタッフ/キャスト
監督 マイケル・アプテッド
出演 ピアース・ブロスナン/ソフィー・マルソー/ロバート・カーライル/デニス・リチャーズ/ロビー・コルトレーン/ジュディ・デンチ
007 ワールド・イズ・ノット・イナフ - Wikipedia
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