★★★☆☆
あらすじ
マークしていた各地のテロ組織の情報を握る男が、カジノでのポーカー大会に参加することを知り、追い詰めるためにゲームに参加したジェームズ・ボンド。
シリーズ第21作目、ダニエル・クレイグ版第1作目。144分。
感想
ジェームズ・ボンド役がダニエル・クレイグに代わって最初の作品だ。個人的にジェームズ・ボンドといえば先代のピアース・ブロスナンのイメージが強いのだが、彼と比べると紳士的なスマートさはなく、どちらかというとワイルドな印象だ。
アクションもクールさよりも泥臭さが感じられるもので、顔が傷だらけになったりするのは新鮮だった。自分のイメージするジェームズ・ボンドとは違うのだが、シリーズ第一作目から見ている人には、これこそがジェームズ・ボンドだ、と評価が高かったらしい。長く続くシリーズものだと、どこから入ったかで見方は変わるものだ。それがファン同士の議論を熱くさせる側面もある。
今作はアクションが少なめで、タイトル通りカジノのシーンがメインとなっている。激しい動きよりも心理描写を重視しており、緊張感のある展開が続く。だが敵役の男にあまり怖さが感じられないので、いまいち気分が盛り上がらないところがあった。悪役は、テロリストたちから集めた金を失ってしまってカジノで一発逆転を狙う男で、その時点で大物感はない。しかも途中で金を預けたテロリストらに金を返せと襲撃されたりもしている。彼がどんなに余裕を見せたところで、でも実際は切羽詰まっているんだよねと思ってしまって、悪玉の得体のしれない空恐ろしさみたいなのは感じられなかった。
終盤、エンディングの雰囲気が漂い始めるもなかなか終わらず、それまで感じていた物足りなさを挽回してくれるような展開がこの後に待ち受けているのかと期待したが、そんなことはなくそのまま終わってしまった。ジェームズ・ボンドのキメ台詞を最後に持ってきたことからも、これはまだ序章でしかないということなのかもしれない。ダニエル・クレイグ版のシリーズ全体を考えた上でのストーリー展開になっているような気がした。
スタッフ/キャスト
監督 マーティン・キャンベル
脚本 ニール・パーヴィス/ロバート・ウェイド/ポール・ハギス
原作 007/カジノ・ロワイヤル【白石朗訳】 ジェームズ・ボンド・シリーズ (創元推理文庫)
出演 ダニエル・クレイグ/エヴァ・グリーン/マッツ・ミケルセン/ジャンカルロ・ジャンニーニ/カテリーナ・ムリーノ/シモン・アブカリアン/イザック・ド・バンコレ/イェスパー・クリステンセン/イワナ・ミルセヴィッチ/トビアス・メンジーズ/クラウディオ・サンタマリア/セバスチャン・フォーカン/ジェフリー・ライト/ジュディ・デンチ/クラウディオ・サンタマリア/リチャード・サメル/ツァイ・チン/クリスティーナ・コール
音楽 デヴィッド・アーノルド
編集 スチュアート・ベアード
007/カジノ・ロワイヤル (2006年の映画) - Wikipedia
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前作 シリーズ第20作目 ピアース・ブロスナン版第4作目
次作 シリーズ第22作目 ダニエル・クレイグ版 第2作目
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