★★★★☆
あらすじ
約定を破り攻め込んできた武田信玄に怒り、決死の覚悟で戦いを挑む上杉謙信。
感想
第4次川中島の戦いを中心に描いた作品。決戦の火蓋が切られるまでの静かな描写と、いざ戦が始まった時の激しい描写が印象的で読み応えがある。序盤の上杉軍の大勝利的雰囲気からの、武田軍の反撃。一時は信玄にあと僅かまで迫りながら、最後はたった二人の従者で帰国する謙信の激動の一日が描かれている。
しかしこんな豪傑たちがゴロゴロいるなんて、正に群雄割拠の時代だ。天下統一が彼らの次の世代でしか成し遂げられなかったのも分かる気がする。何度戦っても決着がつかない相手がすぐ隣国にいるわけだから。
様々な謙信の動きに対して、武田信玄が敢えて多くを語らず、心に秘している様子にも凄みが感じられた。
著者
吉川英治