★★★★☆
あらすじ
結婚するために西部にやって来た女は、結婚相手の一家が襲撃に遭い、皆殺しにされたことを知る。
感想
普通に撮ればきっと90分ぐらいで終わりそうな、165分の映画。じゃあ残りの75分で描かれているのは何かと問われれば、それは「美学」。
冒頭からすごい。きしむ風車、たかるハエ、天井から滴る水滴と、静寂の中にただそれらの音だけが響いている。どこか焦れったいような、じっとりとした時間が流れていく。
開始から次々と色んな人間が登場して、顔と名前が覚えられるか不安になっていたのだがまったくの杞憂だった。なぜならその殆んどが死んでしまうから。そのようなキャラクターたちまで丹念に描いている。
そんな風にたっぷりと時間を使いながらも、西部劇の華とも言える銃撃戦は殆ど無く、しかも一瞬で終わる。確かにこの雰囲気の中で、勝負の前に突然互いに能書きを語りだしたり、勝負が決した後にお涙頂戴のシーンがあったら、興ざめするかもしれない。一瞬で勝負が決することで、彼らが明日をも知れない非情な世界で生きているということが、ひしひしと伝わってくる。
神出鬼没の謎のハーモニカ男、チャールズ・ブロンソンの素性が、セリフではなく映像で明かされ、そして、彼の目的は果たされる。何も語らず彼は去り、その土地でたくましく女は生きていくというラストにも、監督の「美学」が感じられる。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/原案
原案 ダリオ・アルジェント/ベルナルド・ベルトルッチ
出演
bookcites.hatenadiary.comクラウディア・カルディナーレ/ヘンリー・フォンダ/ジェイソン・ロバーズ/ガブリエル・フェルゼッティ/ウディ・ストロード/ジャック・イーラム
音楽 エンニオ・モリコーネ
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