★★★★☆
あらすじ
結婚するために西部にやって来た女は、結婚相手の一家が襲撃に遭い、皆殺しにされたことを知る。
セルジオ・レオーネ監督、ヘンリー・フォンダ、チャールズ・ブロンソンら出演。英題は「Once Upon a Time in the West」。166分。
感想
普通に撮ればきっと90分ぐらいで終わりそうな、165分の映画だ。では残りの75分で描かれているのは何か?と問われれば、それは「美学」だろう。
冒頭からすごい。きしむ風車、たかるハエ、天井から滴る水滴と、静寂の中にただそれらの音だけが響いている。どこか焦れったいような、じっとりとした時間が流れていく。
開始から次々と色んな人物が登場し、顔と名前が覚えられるか不安になっていたのだが、まったくの杞憂だった。なぜならその殆んどが死んでしまうから。そのようなキャラクターたちまで丹念に描いている。
そんな風にたっぷりと時間を使いながらも、西部劇の華とも言える銃撃戦は殆ど無く、しかも一瞬で終わる。確かにこの雰囲気の中で、勝負の前に突然互いに能書きを語りだしたり、勝負が決した後にお涙頂戴のシーンがあったら、興ざめするかもしれない。一瞬で勝負が決することで、彼らが明日をも知れない非情な世界で生きていることが、ひしひしと伝わってくる。
神出鬼没の謎のハーモニカ男、チャールズ・ブロンソンの素性が、セリフではなく映像で明かされ、そして、彼の目的は果たされる。何も語らず彼は去り、その土地でたくましく女は生きていくというラストにも、監督の「美学」が感じられる。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/原案
脚本 セルジオ・ドナティ/ミッキー・ノックス*
*英語版台詞
原案 ダリオ・アルジェント/ベルナルド・ベルトルッチ
出演
bookcites.hatenadiary.comクラウディア・カルディナーレ/ヘンリー・フォンダ/ジェイソン・ロバーズ/ガブリエル・フェルゼッティ/ウディ・ストロード/ジャック・イーラム/アル・ミューロック/キーナン・ウィン/ライオネル・スタンダー
音楽 エンニオ・モリコーネ
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