★★★★☆
あらすじ
離婚して自堕落な生活を送っていた刑事は、元妻が何者かに殺され、自分が犯人にされてしまったことを知る。
チャールズ・ブロンソン主演。原題は「Murphy's Law(マーフィーの法則)」。100分。
感想
離婚して酒に溺れ、自暴自棄な生活を送る刑事が主人公だ。何者かに元妻殺しの犯人に仕立て上げられて逮捕されるが、逃亡して真犯人を探そうとする。しかし冤罪だというのに全く動じず、平気で脱走してまう主人公はワイルドだ。しかもヘリでさらっと逃げ去るのも豪快だ。
主人公の逃亡には、たまたま留置場で同じ手錠でつながれていた若い女も成り行きで同行することになる。口の悪い彼女との凸凹コンビぶりは、この映画の見どころの一つとなっている。ただ彼女の罵倒ぶりがなかなか強烈で、コミカルというよりも引いてしまうことの方が多かった。また、主人公の身近な人たちが簡単に殺されていくので、ちょっと笑いづらい空気でもあった。
主人公を陥れようとするのは、彼に逮捕されて恨みを持つ女だ。犯人が女なのは意外性がある。演じるキャリー・スノッドグレスが、堂々とした悪役ぶりで光る存在感を放っている。関係者を次々と殺し、恨みを晴らしていくサイコキラーの説得力があった。
クライマックスは、女を人質にした犯人との一騎打ちだ。荘厳な内装のビルで繰り広げられる緊張感のある攻防戦は見ごたえがある。最後に犯人を見捨てる非情さもクールだった。それまで無駄に人を殺すシーンが多くてちょっと気になっていたのだが、それがここで効いてきた形だ。
中盤まではよくある80年代のアクション映画といった雰囲気だったが、終盤にグッと引き締まり、一気に好印象になった。それまで笑うことなんてほとんどなかったのに、エンディングで急にデレデレとした笑顔を見せる主人公にもほっこりした。緊張と緩和で見事に幕がとじられる。
スタッフ/キャスト
監督 J・リー・トンプソン
脚本 ゲイル・モーガン・ヒックマン
製作総指揮 メナハム・ゴーラン/ヨーラン・グローバス
出演
キャスリーン・ウィルホイト/キャリー・スノッドグレス/ローレンス・ティアニー/ロバート・アクセルロッド