★★★★☆
あらすじ
デスメタルバンドのボーカルの男が結婚報告のために、妊娠した彼女を連れて故郷である広島の離島へ帰る。
感想
冒頭の柄本明演じる父親が、中学の吹奏楽部員たちを矢沢永吉のモノマネで説教する姿が面白すぎた。正直、もうちょっと見たかった。舞台が広島なので、彼は広島カープと矢沢永吉が大好きな設定だ。
松田龍平演じるモヒカンの主人公と末期の癌だと判明した父親を中心とする家族の物語が描かれる。変に優しくなったりせず、ぶっきらぼうに家族がやり取りしているのがリアルだ。そんな中で他人というか、新しい家族となった前田敦子演じる主人公の妻が、良い潤滑油となっていた。うまく馴染んで明るく皆をサポートしている。
夫が入院してしまったため、一人寂しく野球中継を眺めながら食事をする母親の姿や、病状の悪化により記憶が混濁する父親の手にとどまるハエとか、なにげないシーンに心が動かされてしまう。
それでも、泣けるシーンばかりでなく、ちゃんと笑いも散りばめられている。というよりも、コミカルな中に、不意に切ないシーンが訪れると言ったほうが正確だろうか。上手くバランスが取れた映画に仕上がっている。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 沖田修一
出演 松田龍平/前田敦子/千葉雄大/木場勝己/美保純