★★★★☆
あらすじ
高校を中退し、ニートをしていた男が、母親の死をきっかけに働き始める。
感想
部下に何でも押し付けて自分は仕事をしない上司、上司に媚びへつらう部下と、確かにブラックだ。でも、主人公の唯一の心の支え、田辺誠一演じる男も、実は最低な奴だった、というぐらいじゃないと、まだ救いはあるじゃん、と思ってしまう。いつ田辺誠一がその本性を現すんだって、ずっと待ってしまった。
上司にはいい顔して、部下には高圧的に接し、自分のミスは誤魔化す。そんなダメ上司の役を品川祐が好演。この人はこういう役がよく似合う。しかしどの会社にもダメな奴はいるが、ダメな会社ではなぜかそういう人間に限っていい役職についていたりするものだ。
中卒であることを隠していた小池徹平演じる主人公。その中卒であることがばれた時の、みんなの態度が一変するあのシーン。中卒のつらさが突き刺さる。子供が高校中退しそうな親はこれを見せたらいい。きっと考えが変わるはず。世の中には中卒で成功した人はいるだろうが、彼らだってこういう世間の目と闘ってきたはずだ。その世間の目に打ち勝っていくことは相当な根性がいる。
物語は主人公の頑張りでブラックな職場が変化を見せ始め、いい感じで終わっていくが、これは子供に見せちゃだめなヤツだ。ブラックな会社でも、頑張れば何とかなるという間違ったメッセージを送ってしまう。ブラックな会社はどこまで行ってもブラックだから。会社の上層部が改めない限り、現場レベルで変えられることではない。この映画を見て、そんな会社で頑張っちゃう人とか、勘違いしてしまう会社もありそうで怖い。多分、これを見てうちの方がもっとブラックだと自慢している人間もいるだろうし。
ブラック会社を容認してしまっているのが気に入らないし、主人公の熱い語りも余分だとは思うが、思っていたよりも、映画としてはいい出来だった。
監督 佐藤祐市
原作 ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない
出演 小池徹平/マイコ/田中圭/品川祐/池田鉄洋/田辺誠一/中村靖日/森本レオ
ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない - Wikipedia
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