★★★☆☆
あらすじ
ボルチモアに住む少女は、大好きなダンステレビ番組に出ることを夢見ている。ミュージカル映画。
感想
背が低く小太りな少女。だけどそんな事など全然気にせず、大好きなダンスに夢中になっている。娘が傷つかないかと心配する母をよそに、ダンス番組のオーディションを受けようとする。この底抜けのポジティブさは素晴らしいいが、このポジティブさが他人に迷惑をかけることもあるので警戒も必要だ。第二次大戦末期の日本軍も底抜けにポジティブだったし。
オーディションには落ちてしまうが、ひょんなことから番組に出演することになり、やがて人気者になる主人公。そのまま、音楽とダンスあふれる映画が続くのかと思ったら、映画は意外な方向に向かっていった。もともと僅かしかなかった出演機会を奪われた、黒人の友人たちを救うべく皆と立ち上がる主人公。
そしてクライマックスのダンス番組の目玉のコンテストシーン。会場に入れない娘のために協力する父親役のクリストファー・ウォーケンの女装が可愛らしい。この人は何をやっても面白くなるから得な顔をしている。
最後は登場人物たちが踊りまくって大団円。この映画には強烈な自己肯定であふれている。太っていても思う通りに生きればいいし、黒人であろうとも遠慮することはない。みんなポジティブ。悪くはない映画だったが、ただ主人公の魅力はそんなには伝わってこなかった。ダンスが好きなのはわかるのだが、テレビで人気になるほどダンスが魅力的というわけではなくて、そのあたりが少し説得力に欠ける気がした。
しかし、アメリカでは人種差別があった時代でも黒人音楽が一部では人気があり、それが今では音楽業界をほとんど制覇してしまったといってもいい状態になっている。政治的な方面からだけでなく、文化的な側面からも融合に貢献したことになる。とすると、周辺国に対してヘイトをまき散らす人がいる一方で、そんな周辺国の音楽や映画が大好きだという人もいる今の日本の状況が、今後どうなっていくのか気になるところではある。国内の話と国同士の話なので、比べられないのかもしれないが。
スタッフ/キャスト
監督 アダム・シャンクマン
製作総指揮 トビー・エメリッヒ/ジョン・ウォーターズ
出演 ニッキー・ブロンスキー/ジョン・トラヴォルタ/ミシェル・ファイファー/クリストファー・ウォーケン/クイーン・ラティファ/ブリタニー・スノウ/アマンダ・バインズ/アリソン・ジャネイ/ジェームズ・マースデン/ザック・エフロン/イライジャ・ケリー/ジェリー・スティラー/ポール・ドゥーリイ
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