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「真珠の耳飾りの少女」 2003

真珠の耳飾りの少女 (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 タイル絵師の父親を持つ少女は、画家フェルメールの家でメイドとして働き始める。

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 フェルメールの絵画「真珠の耳飾りの少女」を題材にした作品。100分。

 

感想

 画家フェルメールの家にメイドとして働きに出た少女が主人公だ。実際は誰だったのか不明のようだが、この映画では彼女が「真珠の耳飾りの少女」のモデルだったとして描かれていく。

 

 スカーレット・ヨハンソン演じる主人公は、まだ世慣れていない無口でおとなしい少女だが、それがどこかふてくされたヤンキー少女のようで可愛らしい。眉毛がないように見えるのもの影響しているかもしれない。ただ従順なのではなく、言うべきことは言うし、好奇心を抑え込めるほど抑圧的でもなく、芯の強さを感じる女性だ。嫌がらせを繰り返すフェルメールの娘にも泣き寝入りせず、ちゃんと反撃する。

 

 

 絵画を題材にした映画らしく映像が美しい。フェルメールの絵画を思わせるようなカットが随所に見られ、それだけでも満足できてしまう。特に光あふれるフェルメールの家の中でのシーンはどれも目を引く。スカーレット・ヨハンソンの魅力も引き立っていた。

 

 ただ気になったのは、主人公をはじめ一部の人達の、薄気味悪さを感じてしまうほどの肌の青白さだ。これは元の肌の白さにあまり陽の光を浴びない生活の結果なのか、日本のお歯黒的な風変わりなメイクの風習があるからなのか、あるいは絵画的な映像を作るための演出なのか、判然としなかった。

 

 タイル職人である父親の影響を受け、芸術的素養とセンスのある主人公は、フェルメールのイマジネーションを触発するも、それが夫人の嫉妬を買ってしまう。どこか不穏な空気が流れる中で、名画「真珠の耳飾りの少女」が描き上げられていく。主人公が耳飾りを着けるため、フェルメールにピアスの穴を開けてもらうシーンは意味深だった。

 

 主人公にアートセンスがあるのとモデルとなる話はまた別の話だろうと思わなくもないが、ヒントを与えてくれた女性がモデルにしたくなるほどの美貌を持ち合わせていたという奇跡のような出来事が、この作品が名画となるよう運命付けられていたことを示唆しているとも言える。

 

 それから普段からアートに触れているのだから夫人にもその素養くらいあるだろうとも思わなくなかったが、夫の仕事をちゃんと見ていなければ何も身につかないものなのかもしれない。これは男の仕事には口出しをしない当時の女性の一般的な態度だったのだろう。画家の仕事に興味津々の主人公とはまるで正反対だった。

 

 最初から主人公が絵のモデルとなることが分かりきっているので、結末がわかっている大河ドラマと同じように、途中にある髪の色を話題にするシーンやさりげなく真珠が登場するシーンで、これがあの絵につながっていくのね、なるほどね、などと頷きながら見ていた。どうやってあの絵にたどり着くのか、その過程を楽しむ物語だ。

 

スタッフ/キャスト

監督 ピーター・ウェーバー

 

原作 真珠の耳飾りの少女 (白水Uブックス 146 海外小説の誘惑)

 

出演 コリン・ファース/スカーレット・ヨハンソン/トム・ウィルキンソン/キリアン・マーフィー/エッシー・デイヴィス

 

撮影 エドゥアルド・セラ

 

真珠の耳飾りの少女 (字幕版)

真珠の耳飾りの少女 (字幕版)

  • スカーレット・ヨハンソン
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真珠の耳飾りの少女 (映画) - Wikipedia

 

 

登場する人物

ヨハネス・フェルメール 

 

 

 

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