★★★☆☆
あらすじ
ドン・ファン的生活を送りながらもポルノ中毒でもある男は、ある女性に惚れて真面目に付き合い始めるが、ポルノを見るのだけはやめられずにいた。
俳優のジョセフ・ゴードン=レヴィットの初監督作品。90分。
感想
クラブに行けば必ず女性を連れて帰るほどモテるのに、ポルノ中毒でもある男が主人公だ。珍しくひとりの女性と真面目に付き合い始め、彼女が初めて部屋にやって来た夜ですら、事の後にこっそりとポルノを見てしまうくらい重症だ。
これは想像がついてしまうことだが、原因は彼がひとりよがりの男だからだ。それは彼の生活スタイルを見ても分かる。車に金をかけ、部屋を掃除し、スポーツジム、教会、家族との食事といったいくつかのルーティンをこなし、時おり友人と女を漁りにクラブに出掛ける。割り切って決まったことしかやらない生活は、自分のスタイルを持っているとも言えるが、頑固で柔軟性が欠如しているとも言える。
それが女性との付き合いにも表れているのだろう。誰が相手でも自分を貫くだけだから、作業としては毎回同じだ。意中の恋人にすら同じように振る舞ってしまう。同じことの繰り返しに空しさを感じてしまうのは当然だ。その空しさを埋めるため、彼はポルノに走る。
しかし、ポルノを見ていたことを知って怒る彼女に、君だって恋愛映画を見ているじゃないか、と主人公が反論するのは可笑しかった。確かにどちらもよそのカップルを鑑賞する行為という意味では同じだ。それなのに恋愛映画はお咎めなしなのは解せないと言えば解せない。
終盤、主人公はようやく自身の身勝手さに気付く。だが最初から予想出来たことだったので物語としては弱かった。最後に主人公が結ばれる相手には意外性があったが。
映画は、テンポよく小気味よく進行する。だがテンポが良すぎて、あんなに色々あったのにまだ30分しか経っていないのかと、逆に時間の経過が遅く感じてしまった。もう少し緩急やタメがあれば良かったのかもしれない。
不貞腐れた顔で無言でずっとスマホをいじっているだけだった主人公の妹が、終盤にズバリとキレのあるひとことを口にするシーンは面白かったが、全体的には笑いも薄かった。初監督で思い入れもあっただろうに90分のコンパクトサイズに映画を収めたのは偉いが、物足りなさが残る映画だった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/出演 ジョセフ・ゴードン=レヴィット
出演 スカーレット・ヨハンソン/ジュリアン・ムーア/トニー・ダンザ/グレン・ヘドリー/ブリー・ラーソンアン・ハサウェイ/チャニング・テイタム/ミーガン・グッド/キューバ・グッディング・Jr