★★☆☆☆
あらすじ
丘の上の不気味な洋館で世間と隔絶して暮らすアダムス一家は、ふもとに出来た新しい街の住人に敵意を向けられるようになっていく。
アニメCG映画。シリーズ第1作。87分。
感想
不気味な一家をユーモラスに描いた物語だ。朽ち果てた屋敷や陰気なキャラクターたちなど、ゴシックホラー的な世界観が見事に表現されている。映像を眺めているだけでも十分に楽しめる。
また、気味悪いものが良いもの、罵られるのが嬉しいこと、といった一般とは真逆の価値観を持つ一家の言動には、思わずクスリとさせられる。屋敷を訪れた親戚たち一人一人を悪口で出迎えるシーンは特に可笑しかった。
それから一家の娘が、学校のカエルの解剖の授業で皆が怯える中、自分は慣れているから、とサクサクとカエルを切り刻むのかと思ったら、逆に生き返らせてしまったのも面白かった。そっちかよ!とツッコみたくなる。
場面場面で見るとそれなりに楽しめるのだが、物語としてはイマイチだ。地元住民との対立や通過儀礼による息子の成長、娘の外の世界への憧れなど、いくつかのテーマが描かれているが、あまり深く掘り下げられておらず、どれも薄っぺらい。
特に息子の通過儀礼は、そんなに重要なトピックとは思っていなかったので、彼が失敗して落ち込んでいたのには驚いてしまった。
ただ、個性豊かな一家が「善」で、普通を愛する地元住民を「悪」と分かりやすく描かなかったのは良かった。外の世界に憧れていた娘にとっては自分の家族が普通で、逆に地元住民の方が変な存在に映っていた。普通とは何かと考えさせられる。
そしてそんな曖昧なものでしかない「普通」を異常に気にする世の風潮には馬鹿らしいものを感じてしまう。「普通の日本人」とは何なのだろうか。
それぞれの「普通」の観念を拡大するような、互いに歩み寄る結末も悪くはなかったが、もうちょっと物語としての盛り上がりが欲しかった。え、これで終わり?みたいな呆気なさがあった。
スタッフ/キャスト
監督/製作/出演(声) コンラッド・ヴァーノン
監督 グレッグ・ティアナン
出演(声) オスカー・アイザック/シャーリーズ・セロン/クロエ・グレース・モレッツ/フィン・ウルフハード/ニック・クロール/ベット・ミドラー/アリソン・ジャニー/エルシー・フィッシャー/スヌープ・ドッグ/キャサリン・オハラ/マーティン・ショート/ジェニファー・ルイス/ポム・クレメンティエフ/マイキー・マディソン/ハーランド・ウィリアムズ
音楽 マイケル・ダナ/ジェフ・ダナ
アダムス・ファミリー (2019年の映画) - Wikipedia
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