★★★★☆
あらすじ
ペルーで地震により住む場所を失ったこぐまのパディントンは、育ててくれた叔父夫婦と親交のあった探検家を頼って、単身ロンドンに向かう。
感想
序盤に、40年前の叔父・叔母夫婦とイギリス人探検家との交流の様子や主人公のこぐまのパディントンたちのジャングルでの暮らしぶり、そして地震が起きて住む場所がなくなってしまった事など、パディントンがロンドンに向かうまでのいきさつがテンポよく描かれる。
そこには、育ててくれた叔父さん叔母さんとの辛い別れも含まれているのだが、それすらもあっさりとした描き方。これでいいのかなと思わなくもないが、そこに時間をかけてしまうと冗長になってしまうし、話がブレてしまうという判断なのだろう。スッと本題に入っていく感じは、好感が持てる。
ロンドンにたどり着くも当てにしていた探検家が見つからず、また思っていたような場所でもないことに気付いて途方に暮れていたパディントンだが、ある一家に助けられて泊めてもらう事になる。最初は風呂の使い方などの勝手が分からず、トラブルを起こして、パディントンは一家に迷惑をかけてしまう。でもそこはちゃんと最初に説明してあげるべきだろうと思ってしまった。当たり前すぎて分からないとは思わなかった、という事なのだろうが、でも相手はそもそもクマだし。
そんな事もあり、一家の母親以外からはあまり快く思われていなかったパディントンだが、次第に皆と打ち解けていく。彼の存在が家族を変えていく様子は微笑ましかった。
その後も探検家を探していたパディントンだが、やがてニコール・キッドマン演じる謎の女につけ狙われる事になる。彼女はパディントンをはく製にしようと目論んでいて、かなり残酷だなと思ったのだが、子供にも分かりやすい怖さだからなのだろう。
それから、彼女が「ミッション・インポッシブル」のように天井からぶら下がって侵入するシーンは、元夫のトム・クルーズを意識したパロディだったのだろうか。この映画は子供向け映画だが、大人がニヤリと笑えるようなシーンも用意されていて、子どもだけではなく家族みんなで楽しめるようになっている。音楽ネタも面白かった。
こぐまのパディントンのCGは自然で違和感がなかったし、ワクワク感を演出するクラシカルな音楽も良く、映像も美しかった。クライマックスもハラハラドキドキのアクションでちゃんと盛り上げてくれて、総合的にとても良くできている。家族みんなで楽しめるファミリー映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/原案 ポール・キング
原作 くまのパディントン
出演 (声)ベン・ウィショー/ヒュー・ボネヴィル/サリー・ホーキンス/マデリン・ハリス/ジュリー・ウォルターズ/ピーター・カパルディ/ジム・ブロードベント/ニコール・キッドマン/マット・ルーカス/マイケル・ボンド/(声)イメルダ・スタウントン/(声)マイケル・ガンボン
音楽 ニック・ウラタ
撮影 エリック・ウィルソン
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