★★★☆☆
あらすじ
機械対人間の戦争が繰り広げられる近未来。機械側が人間側のリーダーの母親を殺そうとタイムマシンで送り込んだ刺客を倒すため、同じく過去に戻った男。
「ターミネーター」シリーズの第5作目でリブート作品。原題は「Terminator Genisys」。125分。
感想
リブート作品ではあるが、1,2作目の内容を踏まえた内容になっている。前半は、1作目の悪玉シュワルツェネッガーと2作目の善玉シュワルツェネッガーが対決したり、2作目に登場した液体化するターミネーターが登場したりと、これまでのシリーズを見てきた者にとっては楽しい内容となっている。
主人公は、人間と機械が戦っている未来から将来人間側のリーダーを生む母親を守るためにやってきた男だ。1作目と同じ始まりだが、やってきた過去は想定していたものとは違うものになっていた。もっと過去に送り込まれていた善玉シュワルツェネッガーに守られ、刺客は既に倒されており、主人公は戸惑う。
そこで主人公らは、人間が機械に攻撃されるきっかけとなった世界的な情報システムの起動を阻止しようと未来に向かう。ここで敢えて善玉シュワルツェネッガーはタイムスリップさせず、普通に年齢を重ねさせて未来で主人公らと合流させたのはうまいプロットだった。
これで実年齢のシュワルツェネッガーが演じられるようになった。この映画ではCGを駆使して、1作目の若い時、2作目の全盛期、そして政界から復帰した現在の、3つの時期のシュワルツェネッガーを堪能することができる。
そして主人公らは未来を変えるために動き出す。だがこのあたりから、タイムスリップものにありがちな時間軸が入り乱れる展開にややこしさを感じるようになってくる。
この人は未来から過去にやって来てさらにちょっとだけ未来に行った人で、この時点だと少年時代の彼も同時に存在しているはず、この人は元々過去にいた人で未来にやった来たけどまだこの時点では子供を生んではいないはず等と、いちいち考えなければならなくなった。
しかも歴史改変が起きたからこうなるはずで、と時間軸の変化も考慮する必要がある。さらには前半の楽しかった1,2作目の引用も仇になっていて、リブートなので関係ないはずのこれら映画の出来事も頭をよぎってごっちゃになってしまい、ますます混乱に拍車がかかってしまった。
とはいえ結局はシステム起動を阻止すればいいだけ、ということで何とか物語についていくことは出来る。ただそうなってくると、もはや良くある未来改変を目指すSFタイムスリップものと大して変わらない凡庸なものに見えてくる。シリーズらしさはあまりない。登場人物たちのキャラや関係を描くドラマもおざなりな印象だ。
「スターウォーズ」シリーズとも似ているが、君ら家族の自作自演かよ、それに世界を巻き込むなよ、と言いたくなる展開だ。登場人物を増やすとややこしくなるので、一見壮大に見える物語も案外とそうなりがちなのかもしれない。
スタッフ/キャスト
監督 アラン・テイラー
出演 アーノルド・シュワルツェネッガー/ジェイソン・クラーク/エミリア・クラーク/ジェイ・コートニー/J・K・シモンズ/ダイオ・オケニイ/マット・スミス/コートニー・B・ヴァンス/イ・ビョンホン/マイケル・グラディス/サンドリーヌ・ホルト
音楽 ローン・バルフ
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