★★★☆☆
あらすじ
キャリアで挫折した元軍人の男は、なんとかありついた仕事のためにハワイに戻って来る。
感想
宇宙開発を夢見るも挫折した元軍人の男が、ハワイに戻って来る物語だ。ハワイの独特の文化の中で、かつての恋人との再会や新たな女性との出会いが描かれる。
主人公と関わる登場人物たちが皆魅力的だが、中でもエマ・ストーン演じる主人公にアテンドする空軍のパイロットが非常に良かった。人懐っこい犬のように誰にでも親し気に話しかけ、憎めない愛嬌のあるキャラクターだ。彼女を見ているだけで微笑ましい気分にさせられた。特に大晦日のパーティでビル・マーレイ演じる富豪の男とダンスするシーンは心躍るものだった。
その他、主人公の元恋人と結婚した無口な男も面白かった。妻の元恋人が現れて不安を覚えながらも多くは語らず、他の者たちは彼の態度でその心情を察している。それを踏まえた上での終盤の主人公との無言の対話は、うまい演出だった。下手するとでくの坊だと思われてしまいそうだが、実際は繊細ながらも広い心を持つ懐の深い男だ。
一つ一つのエピソードはどれもなかなか良いのだが、全体としてみると何を描きたかったのだ?と首をひねってしまうような、物語としての芯のない、まとまりのなさを感じてしまう。おそらくは主人公が挫折したといいながら、そんなにどん底な様子は見えず、最初から案外まともだったのがいけなかったのだろう。まずはいかにも落ちぶれた駄目な感じからスタートして欲しかった。
クライマックスで主人公は大きな決断をするが、元々そんなことをしそうな人だったので驚きは少なく、むしろ決断が遅いくらいに感じてしまった。主人公の再生の物語として描こうとしていたのだったら、最初と最後の落差がなさすぎだ。彼が触媒として周りの人に影響を与えていく物語ならまだ分かるが、それならもっと違うキャラクターにするべきだった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作 キャメロン・クロウ
出演 ブラッドリー・クーパー/エマ・ストーン/レイチェル・マクアダムス/ビル・マーレイ/ジョン・クラシンスキー/ダニー・マクブライド/アレック・ボールドウィン/ビル・キャンプ/ジェイデン・リーバハー
音楽 ヨンシー/アレックス・ソマーズ