★★★★☆
あらすじ
第2次大戦中のヨーロッパ。ドイツ軍の捕虜となった大規模作戦の米軍司令官を救出するために、雪山の要塞に侵入することとなった米英混成部隊。
感想
クリント・イーストウッドが主演かと思って観ていたのだが、実際はリチャード・バートンが主演だった。なかなかクリント・イーストウッドが前面に出てこないので、あれ?と訝しんでしまった。そして、リチャード・バートン演じる主人公の不審な行動を、怪しい目で見てしまっていた。
序盤はそんな勘違いのせいもあって、なんとなく要領を得ない進行が続く。チームで敵地に乗り込むのだから、紹介も兼ねてそれぞれのメンバーの描写をすればいいのにやらないし、主人公はコソコソと何やらやってるし、クリント・イーストウッドは目立たないし。
ただ、そんなリズムに乗り切れない展開も、主人公たちがロープウェイに乗って敵の城塞に乗り込む頃には解消されて、テンポが出てくる。主演がクリント・イーストウッドではないことを理解し始め、なぜ他のメンバーを紹介しなかったのかも分かって、見ている側の心の整理が出来たというのもあるが、いよいよ乗り込むぞという実感が湧いてきたことが大きい。そういう意味で、絶景の雪山の中をロープウェイの屋根に乗って進む二人の姿は、よいトリガーとなるインパクトのあるシーンだった。
城塞の中では、先に侵入していた味方の女性の手引きもあって、かなり順調に物事は進む。しかし、ドイツ軍の中に侵入したのに、基本的に英語でやり取りする演出に、英語圏やドイツ語圏の人たちは違和感を感じないのだろうか。リアリティを求めて全てドイツ語でやってしまうと、字幕だらけになって観客に嫌われるのだろうが。
でもこの演出だと、ドイツ兵に扮しているのにドイツ語を喋らなくて済むなら、そんなに大変じゃないかもと思ってしまう。変なアクセントのドイツ語を喋ったり、とっさに英語が出てしまって敵に怪しまれる恐れはない。彼らが敵地で順調に見えたのは、そんな緊張感が無かったからかもしれない。
映画の中では、爆弾とロープが大活躍。何かあれば爆弾を仕掛け、高低差があればロープを活用。律義にロープを回収する姿にちょっと笑ってしまったが、これはこれで分かり易くていい。ロープで上り下りする姿はスリルがあるし、爆破シーンは気持ちが良い。意外と満足できてしまう。
敵の本陣にたどり着いての、密室劇的なやり取りも見ごたえがあった。何となく裏切り者がいる事は分かっていたのだが、誰か一人だけだと思っていたので意表を突かれてしまった。しかしよく考えると、スパイを炙り出すためだけに、これだけのリスキーな作戦を実行したのかと一瞬疑念を持ってしまったが、敵に情報が筒抜けとなり、誰が裏切り者かと疑心暗鬼になって消耗してしまうことを考えたら、充分に費用対効果はあるのだろう。
古い映画なので、もっさりと間延びしたように感じるシーンがないわけでもないが、アクションやサスペンスの要素が詰まって楽しめる映画だった。最後の脱出シーンも、来た時に仕掛けられていた伏線を回収し、豪快に突き進んで行く爽快感があった。ただ、ほぼ主人公が見せ場を独占していて、クリント・イーストウッドはその補佐や後始末をするばかり。二時間半もある映画なんだから、一つくらい彼にもカッコいいところを見せるチャンスを上げて欲しかった。
スタッフ/キャスト
監督 ブライアン・G・ハットン
脚本 アリステア・マクリーン
出演 リチャード・バートン
bookcites.hatenadiary.comメアリー・ユーア/イングリッド・ピット/マイケル・ホーダーン/アントン・ディフリング/ダーレン・ネスビット
関連する作品
映画のノベライズ