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「blank13」 2018

blank13

★★☆☆☆

 

あらすじ

 借金を抱え、家族を捨てて出て行った父親の葬儀に参列する息子たち。 

 

感想

 父親の抱えた借金により、厳しい取り立てに耐える日々を過ごした兄弟。やがて父親は蒸発し、朝から晩まで働いて、女手一つで育ててくれた母親を見てきた彼らにとって、父親は当然憎むべき存在だ。だから出て行って13年後に、末期がんで死期が迫った父親の所在が分かった所で、無視しようとするのは理解できる。

 

 だが完全には切り捨てられないのが、血のつながった親子の悲しい性だ。嫌な事が多かった幼少期だが、父親との心温まる思い出もないわけではない。苦労させられた母や兄とは違い、弟はそんな懐かしい父親との記憶を今も時々思い出している。そして、複雑な思いを抱えながらも、父親に会いに行く。

 

 

 前半はそんな当時の家族の様子と、13年ぶりに会った父子の愛憎劇が薄くベタに描かれていく。このあたりはありきたりの出来事が淡々と描かれだけなので、結構つらかった。

 

 後半は、死んだ父親の告別式が主な舞台となる。そこで参列者が故人の思い出を語り、兄弟が知らなかった父親の姿が浮かび上がっていく。いい話ではあるのだが、その形式も、浮かび上がる父親の姿も、とてつもなくありきたりだ。新鮮味がなさ過ぎて、困惑してしまうほどだ。

 

 ただ参列者が語る様子を、面白おかしく描こうとはしているようで、佐藤二朗がいつもの感じで司会者役となり、参列者がコミカルに答えていく。ボケたりツッコんだりして、まるでコントみたいだなと思っていたら、もともとこの映画はコントの企画だったようだ。それを知ると、今までなぜこんなにベタだったのかの謎が解けた。

 

 コントは、店員と客、医者と患者のような、日常でよくある状況を面白おかしく描くものだ。基本は誰もが分かるありきたりのものじゃないといけない。葬式もコントでよく使われるシチュエーションだ。だからこれはコントとしては間違っていないのだが、映画としては既視感あり過ぎて正直しんどい。コントのままで留めておいた方が良かったような気がする。

 

 でも葬式というのは、本当はこんな形のものがいいのかもしれない。どこの誰だか分からない人たちに交じって神妙な顔をして時が過ぎるのを待つよりは、参列者が一人ずつ故人との関係を語る方が、故人の人生が浮かび上がって皆の記憶にいつまでも残るはずだ。二度と同じメンバーで集うことはない、故人のための一期一会の集まりなのだから、同じ参列者の事をより知る機会がもっとあってもいい。

 

 豪華な出演陣を楽しむにはいいが、高橋一生ら主要キャストに期待していた人にとっては、がっかりさせられるだろう映画となっている。

 

スタッフ/キャスト

監督*/出演 斎藤工

*齊藤工名義

 

脚本 西条みつとし

 

出演 高橋一生/松岡茉優/神野三鈴/リリー・フランキー/佐藤二朗/村上淳/織本順吉/川瀬陽太/伊藤沙莉/くっきー/大水洋介/永野/ミラクルひかる/福士誠治/蛭子能収/杉作J太郎/波岡一喜/森田哲矢/榊英雄

 

出演/音楽 金子ノブアキ
 

blank13

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  • 発売日: 2018/10/31
  • メディア: Prime Video
 

blank13 - Wikipedia

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