★★★☆☆
あらすじ
ドイツ・ベルリンで繰り広げられる様々な人間模様を描いたオムニバス映画。
「シティーズ・オブ・ラブ」シリーズの第5弾。
感想
ベルリンを舞台に、様々な監督によって撮影されたオムニバス映画だ。この手の作品では仕方がないことだが、ちょっとした小話といった感じの短編が並んでいる。ただ、単純にそれを素っ気なく並べただけの短編集ではなく、短編同士をつなげてひとつの物語の形にしているのは好感が持てる。
映画ではベルリンの名所がたくさん登場しているようだが、パリのエッフェル塔、ニューヨークの自由の女神みたいに、この都市と言えばこれ、みたいなランドマークがベルリンにはないなと思ってしまった。ただ自分が知らないだけなのかもしれないが。わざわざタイトルに冠しているわりにはあまりベルリンを感じられない。
だが、広場が多くて大道芸人が多いみたいだったり、割と英語は通じるらしいとか、移民が多く難民の問題があったりするらしい、と街の雰囲気は良く伝わってくるので、逆にこの映画でベルリンについて学習することが出来た。それからこの当時の風潮だったからかもしれないが、LGBTやMeTooといったトピックを積極的に取り上げているのも印象的だ。
そんな中で、LGBTの女性と16歳になったばかりの少年が会話するエピソードは、変な偏見がなく、自然に話をしている雰囲気が良かった。女性にとってはもしかしたらズケズケと踏み込まれている感じがあったかもしれないが、そこは相手がまだ少年で、自身を探求するための悪意のない純粋な質問をしてくるだけなので、大目に見たのだろう。
この少年も普通ならもっと初歩的な質問から始めそうなものなのに、そこはすでに理解しているとばかりにすっ飛ばしている。理解がそこで止まっている人が多い中で、彼はもはやそれには囚われていないわけで、きっとその分、他の人たちより自由なのだろうなと思ってしまった。
悪くはないがそこそこのストーリーが続く展開に若干ダレかけたが、後半に少し毛並みの違う話が並んでグッと盛り返してきた。良い構成だ。皆が勢ぞろいして、グランドフィナーレみたいになっているラストも良い。
スタッフ/キャスト
監督/製作総指揮 ダニエル・ルウォウスキー
監督/脚本/製作 クラウス・クラウセン
監督/脚本 フェルナンド・エインビッケ/デニス・ガンゼル/ダニー・レビ/マッシー・タジェディン/ジャスティン・フランクリン
監督 ダイアナ・アグロン/ピーター・チェルソム/デニス・ガンゼル/ステファニー・マーティン/ジョゼフ・ラスナック/ティル・シュワイガー/マッシー・タジェディン/ガブリエラ・ツェルニアク
出演 ヘレン・ミレン/キーラ・ナイトレイ/ミッキー・ローク/ダイアナ・アグロン/ディエゴ・ルナ/ジム・スタージェス/シャルロット・ルボン/ラファエル・コーエン/ロバート・スタッド/エミリー・ビーチャム/アレクサンダー・ブラック/ラファエレ・コーエン/ジェナ・ディーワン/ハンネローレ・エルスナー/ベロニカ・フェレ/ノーラン・ファンク/トニ・ガーンリアム・グロス/シベル・ケキリ/フィービー・ニコルズ/マックス・ラーベ/イワン・リオン/カーチャ・リーマン/キャロル・シュラー/ジェイク・ウェバー/ライラ・マリア・ウィット
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