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「暴力街」 1974

暴力街(1974年)

★★★☆☆

 

あらすじ

 かつての子分たちの暴走により、古巣の暴力団組織に狙われることになった元ヤクザの男。

 

感想

 今はカタギの元ヤクザが、かつての部下の暴走により所属していた組と事を構えることになってしまう物語だ。主人公は古巣の組長に対するあるわだかまりはあったものの、特別に何かしようと企んでいたわけではなかったので、前半はただ周りが勝手に動いて状況が出来上がっていくのを見守るだけになってしまっている。冗長で面白みに欠ける展開だ。もう少しコンパクトにまとめるか、もしくはそこに別の見どころを用意して欲しかった。

 

 後半も、元部下たちの企みがバレて追い込まれ、相手の組長にも思うところがあるし仕方がないけどやるか、と戦うことを決めるような、煮え切らないストーリーだ。主人公の強い意志がないので、いまいち物語に入っていけなかった。何度かある抗争シーンも、今見ると凡庸だ。

 

 

 それでも、敵が送り込んできた殺し屋が必殺仕事人みたいで、肩にオウム乗せるとか漫画か!とツッコみたくなったり、本筋とはあまり脈絡のない無駄な絡みを見せて颯爽と去っていく菅原文太のキレのある客寄せパンダぶりだったり、笑ってしまうような面白いシーンもいくつかあった。逆にこっちを膨らませて、おかしなキャラがたくさん登場する荒唐無稽な映画にした方が面白くなったのでは?と思わなくもない。

 

 菅原文太も含めて出演陣も豪華だが、若い頃の平泉成(平泉征)も出ていて、彼が普通のどこにでもいそうな血気盛んな若者だったのが意外だった。だが若い頃なんて誰だってこんなもので、反対にこの頃から枯れた感じをしている方が変か。彼がどういう過程を経て今のスタイルを確立させたのか気になった。

 

 組を株式会社化して合法的な活動にシフトし、任侠の精神が失われていくヤクザの世界に対する嘆きのようなものが感じられる映画だ。主人公も小林旭演じる敵役も変わることが出来ずに取り残されてしまった人間たちだ。よく考えるとそれが良いことなのか悪いことなのか分からなくなるが、時代に乗れない人間の悲哀というものは感じられる。

 

 全体的に少しかったるく感じてしまう内容だったが、騒々しい鶏小屋と札束舞う犬小屋のラストシーンだけはなぜか妙にグッとくるシーンに仕上がっており、終わり良ければすべて良しではないが、あまり印象は悪くない。

 

スタッフ/キャスト

監督/原案 五社英雄

 

出演 安藤昇/小林旭/菅原文太/夏八木勲/小池朝雄/マダム・ジョイ/室田日出男/安岡力也/八名信夫/平泉征bookcites.hatenadiary.com

 

暴力街 (1974年の映画) - Wikipedia

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