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「神戸国際ギャング」 1975

神戸国際ギャング

★★☆☆☆

 

あらすじ

 戦後まもなく進駐軍や華僑、朝鮮系のギャングを相手に神戸で一大勢力を築いた男は、抗争の中で一人の部下と対立するようになる。

 

感想

 まず何と言ってもボスと対立する子分を演じる菅原文太のギラギラぶりがすごい。一人だけ明らかにヤバそうな空気を発している。しかもボスとの対立の仕方も、不服そうな顔をするとか陰口を叩くとかの生易しいものではなく、本人に向かってズバリと言いたいことを言い、何なら殴り合いも辞さない覚悟を見せている。

 

 日本人的感覚だとそんな奴がいる時点で、もはや組織として駄目だろうと思ってしまうが、自分たちのことをヤクザではなくギャングと言っているくらいだから、言いたいことを言い合い、納得した上でしか動かない欧米風の関係の組織を標榜しているのだろう。二人の関係も便宜上親分・子分としているが、実際はそれとはまた違ったものなのかもしれない。

 

 ところで、敵対する組織と睨み合っていきり立つ親分を、彼が銃を持った手でなだめ、気付かず普通に銃口を親分に向けていたシーンは、色々と無頓着すぎて笑ってしまった。たまたまだと思うが、もしかしたら二人のその後を示す暗示だったのかもしれない。

 

 

 そんな子分を抱える親分を演じるのが、主演の高倉健だ。彼だからその懐の深さに説得力を感じるが、それでもあまり二人は噛み合っていないように感じた。というか、狂犬のような菅原文太と上手くやれそうな人間などいるのか?という話だが。彼が登場すると必ず不穏な空気が生まれてしまいそうだ。

 

 その高倉健は、この映画で本格的な濡れ場を演じている。なんだか珍しいなと思いながら見ていたが、彼の長いキャリアの中でこんなシーンをしっかりやるのはほぼこの映画くらいしか無いらしい。貴重なシーンということになる。しかし女優ならともかく、男優でこんな話がトピックになるなんて可笑しいが、つまりはそれだけ彼がスターだった証左なのだろう。

 

 二人の確執が次第に高まり、やがて限界を超えてついに対決、という流れではなく、他の組織と抗争したり刑務所に入ったりする中で、対立が突如表面化する展開だ。話の方向性が見えづらく、とても散漫な印象だ。主人公が惚れた女に裏切られたり、田中邦衛演じる子分が男気を見せて指を詰めたりと、グッとくるシーンがないわけでもなかったが、もうちょっと二人の対決に焦点を絞って盛り上げて欲しかった。

 

スタッフ/キャスト

監督 田中登

 

出演

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菅原文太/和田浩治/泉ピン子/夏八木勲/石橋蓮司/大滝秀治/中島葵/菅井きん/絵沢萠子/田中邦衛/ガッツ石松/片桐竜次

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神戸国際ギャング - Wikipedia

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