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「カルメン故郷に帰る」 1951

カルメン故郷に帰る デジタルリマスター

★★★★☆

 

あらすじ

 家出して東京でストリッパーになった女が、久しぶりに故郷に戻ってくる。日本映画最初の国産カラー映画。

 

感想

 浅間山麓が舞台。広大な大自然と開拓した村の様子がまるで西部劇のワンシーンのようだ。また、高原で出演者が歌い踊る様子から「サウンド・オブ・ミュージック」ぽくもある。

 

 芸術家になったという娘の本当の仕事に薄々気づいている父親の苦悩や、盲目の音楽家とそれを支える妻、といった少しシリアスな内容を含みながらも、基本的には主人公たちの歌と踊りを楽しむ娯楽作品といったところ。実際、彼女たちの少しユルさのある踊りは見ていて楽しい。若干不自然なカラー映像も非現実的な華やかさがある。

 

 

 しかし、ほぼ半裸で踊る主人公たちに奔放さは感じるが、あまりセクシーさは感じない。背景が広大な大自然だからなのだろうか。彼女たちの周りに集まって来た牛や馬のように、人間だってそれが自然な姿だということなのだろう。どこか健康的ですらある。ただ、終盤の設営された小屋で踊るシーンでは妖しさが出ていたので、シチュエーションというのは大事なのだな、と実感させられた。

 

 主人公たちの言動に頭を抱える父親や校長とは対照的に「別にいいじゃない」といった様子でニコニコしている主人公の姉にグッとくる。数は少ないがこういう人たちがいることで、世界は変わっていくことができるのだろうなと思った。校長を演じる笠智衆のとぼけた演技も面白かった。

 

 主人公たちがやって来たことで村にちょっとした変化が訪れる、という良い話。しかも一つ所ではなく各所から善意が湧き出ていることが、なんだか幸せな気分にしてくれる。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 木下惠介

 

出演 高峰秀子/小林トシ子/望月優子/佐野周二/坂本武/見明凡太朗/三井弘次

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音楽 木下忠司/黛敏郎

 

カルメン故郷に帰る - Wikipedia

 

 

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