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「アルゼンチンババア」 2010

アルゼンチンババア [DVD]

★★☆☆☆

 

 母親の死亡後から失踪していた父親が、近所の謎の女が住む館にいることが分かり、会いに行く娘。

 

 「アルゼンチンババア」というインパクトのある言葉だが、それから想像する姿と、登場したババア役の鈴木京香の姿との間に大きなギャップがあっていきなり違和感。なんとなく怪しげな老婆を想像していたが、奇抜なファッションの変なおばちゃんだった。婆さんではなく、おばちゃんの「ババア」ということか。何歳の設定なのかがよくわからない。

 

 前半はまるでダイジェストを見ているような展開。登場人物たちの細かい心情が描かれないまま進行するので、全然物語に入っていけない。そしてアルゼンチン感を出すためなのか、おとぎ話的な現実離れした雰囲気を出すためなのか、ずっとタンゴ調の音楽がバックで流れていて、それがまるで音楽の雰囲気だけで押し通しているような気がしてきて、だんだんイライラしてきた。置いてけぼり感が半端ない。

 

 堀北真希演じる娘の母親が死んだ悲しさや父親が失踪した怒りといった感情、役所広司演じる父親の妻を失った現実を受け入れられない気持ち、そしてアルゼンチンババアの彼らの心の痛みをいたわろうとする気持ちなど、そういったものが一切伝わってこないので、登場人物の誰にも感情移入ができない。なので、詳しいことはわからないけど色々あるみたいだな、とただ傍観するしかない。

 

 そんな風に主要な登場人物たちをしっかり描けていないくせに、脇役たちのサイドストーリーを突然意味ありげに中途半端に投入してくるので、ますます混乱してイライラする。主人公たちのことすら把握できていないのに、なんでその他の事まで理解させようとするのか。

 

 一応、堀北真希演じる娘の目線で物語を見ていればいいのかなと思っていたのだが、父親に続いて今度は娘が謎の失踪をするものだから、もう誰が主役なのだか、誰目線で見ればいいのだか、分からなくなった。せめて誰か一人には感情移入させて欲しかった。

 

 結局最後までこの調子。ラスト間近で素敵な物語だったでしょとばかりに、呑気にタンゴを踊りだしたものだから、そんなのいいからとっとと終われと、後ろから蹴りを入れたくなってしまった。全然いい話にも思えない。登場人物たちとは分かりあえそうもない。

 

 よく考えると、鈴木京香の役は別に謎の館に住むミステリアスな女である必然性って全く無かった。彼女の特異な存在が物語に大きな影響を与えるわけでもなかったので、別に近所のおばさんという設定でも成立したような気もする。

 

 つまり、こんな事になってしまったのは「アルゼンチンババア」というインパクトのあるタイトルのせいだったのかもしれない。タイトル負けしないように様々な要素を入れようとしてしまい、肝心のメインの物語がおざなりになってしまった。ちゃんとした原作があるのでそんな事はないはずなのだが、映画用にうまく脚色できなかったということなのだろう。

 

監督/脚本 長尾直樹

 

原作  アルゼンチンババア

 

出演

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鈴木京香堀北真希森下愛子田中直樹/きたろう/岸部一徳手塚理美有坂来瞳唯野未歩子石井光三

 

音楽 周防義和小松亮太

 

アルゼンチンババア [DVD]

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アルゼンチンババア - Wikipedia

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