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「コースト・ガード」 2002

コースト・ガード(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 北朝鮮近くの海岸を警備する海兵隊員は、砂浜で密会する地元の男女を上陸してきたスパイと勘違いし、男を射殺してしまう。

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 チャン・ドンゴン主演、キム・ギドク監督。韓国映画。94分。

 

感想

 北朝鮮からのスパイ侵入を阻止するために、海岸を警備する海兵隊員が主人公だ。スパイと間違えて地元の男を射殺してしまったことから、常軌を逸していく。

 

 戦争にロマンを夢見ていた人間が、その現実を知って幻滅、後悔する典型的なストーリーだ。しかし、これまで何度も繰り返し語られてきたことなのに、いまだに戦争に憧れる人がいて、これからも同じような話を再生産しそうなのは何なのだろう。人間は歴史に学べないということか。結局、「やってみなきゃ分からない」という単純で熱くなれる漫画的思考に流されてしまうということなのかもしれない。

 

 

 主人公もそんな思考で前のめりに熱くなっていたのに、その結果に落ち込み、心を病んでしまった。だが、その経緯には腑に落ちないところがある。主人公は、「侵入者は射殺する」と警告された立ち入り禁止の場所に侵入した地元民を射殺したのだから、任務としては何も間違っていない。だから表彰され、褒美も与えられた。

 

 任務に誇りを持っているのなら、当然のことをしたまでと、気を病む必要はないはずだ。そう思っていたはずなのに、徐々に罪悪感に苛まれるようになったのならまだ理解できるが、即座に主人公が落ち込んでしまったのは解せなかった。当然のことをしても軍人は精神的なダメージを負ってしまう、ということなのかもしれないが。

 

 そこに引っかかってしまったが、その後の主人公の異常な行動には引き込まれる。そして、主人公に行為中の相手を殺されて気が触れてしまった若い女が、軍人たちの周辺をふらふらとさまよう姿も、なんとなく昔の民話のようなファンタジー感があり、強く印象に残る。

 

 また、彼らによって引き起こされた問題によって、軍隊の闇も浮き彫りになる。鉄拳制裁や上から下へと連鎖していく八つ当たり、そしてそれを恐れての隠蔽工作と、武力により統制された組織の問題点が次々と描かれていく。

 

 そんな中で一番興味深かったのは、韓国の人々の軍人に対する態度だ。地元漁師たちはあからさまに馬鹿にしていて、平気で殴りかかろうとするし、普通のおばさんですらためらうことなく食ってかかったりする。日本だと内心はどうあれ、武器を持った相手だからと近づかないようにするような気がするが、彼らは気にもしていない。

 

 一般的に役人は見下されがちだが、その延長線上にあるマインドなのだろうか。また、徴兵制なので軍隊が身近な存在であることも影響しているのかもしれない。軍人たちが居丈高でないのは良いことだが、もうちょっと人並みの敬意を持たれてもいいのでは?と思ってしまった。

 

 吸い込まれていくような主人公の狂気を堪能できる物語だ。最初の段階で引っ掛かりを覚えてしまうのだけが残念だ。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 キム・ギドク

 

出演 チャン・ドンゴン/キム・ジョンハク/パク・チア

 

 

 

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