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「哭声/コクソン」 2016

哭声/コクソン(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 不可解な事件が次々と起こる田舎町。最近住み着いた日本人のしわざとの噂が広まり、調査を始める警察官。

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感想

 田舎町で次々と惨殺や放火といった不可解な事件が起きる。単純に事件のあらましを聞いただけでも妙なのだが、その描写が見事だ。呆然としたり、半狂乱になったりする当事者たちが、ボロボロの服に顔は真っ黒で、その姿を見ただけで異常さがよく伝わってくる。下手すればコメディになりそうな見た目なのに、ちゃんと不気味だから不思議だ。

 

 それら事件の原因として浮上してくるのが、最近やって来た日本人の存在だ。真偽不明の噂が飛び交う。最初は真に受けていなかった警察官である主人公も、不審に思い始めて関心を持つようになる。どこか「八つ墓村」的な祟りなどの古い因習を基にしたおどろおどろしい展開や、ゾンビ的な展開が今にも起きそうな雰囲気で充満している。

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 ただし、おかしな出来事は次々と起こるものの、事件の原因や真相はほとんど見えてこない。そのうち主人公の娘にも異変が起きて、主人公自身が謎の大きな渦に巻き込まれていく。國村隼演じる日本人と対峙したり、祈祷師に頼ったり。

 

 ところで、途中から登場する祈祷師はカッコ良かった。お祓いや願掛けみたいなもので、別に信用していないけど一応やっておくか程度の扱いかと思ったら、あれが怪しいから調べてみて、とか言ってバンバンと当てていく。ちょっと憧れてしまった。しばらくこの祈祷師の時間帯があった。

 

 

 そして結局モヤモヤとした形で物語は終わっていく。単純明快なホラー映画ではなかった。韓国の田舎に一人の日本人が現れるという事からも、一つの共同体によそ者がやって来た時の反応を描いていると解釈するべきか。

 

 尾ひれがついた噂話が広がっていることからも分かるように、人々は自分が見たいようにしか見ることができず、それを改めることは難しい。そこにキリスト教的見方や祈祷師的な古いものの見方も影響を与えている。それぞれが勝手に物事を結び付けて、物語を作り上げてしまう。この映画自体も色々な解釈が出来るようになっていて、見る人によって捉え方は違うものになるはずだ。

 

 國村隼や子役の子供をはじめ、皆の演技が見事だった。主人公の顔芸も楽しめ、見ごたえのある映画といえる。ただ、2時間半以上もある作品で、長いな…という感想が次第に頭の大部分を占めだして、段々と集中力がなくなってくるのが正直なところだ。様々な考察を楽しむためにも、心と時間に余裕があるときに見るべき作品といえそうだ。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ナ・ホンジン

 

出演 クァク・ドウォン/ファン・ジョンミン/チョン・ウヒ/キム・ファニ

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哭声/コクソン(字幕版)

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哭声/コクソン - Wikipedia

 

 

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