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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「ガンジー」 1982

ガンジー (字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 非暴力・不服従運動で知られるインド独立運動の指導者マハトマ・ガンディーの伝記映画。アカデミー賞作品賞。188分。

 

感想

 まずガンジーを演じるベン・キングズレーがすごい。もうガンジーにしか見えない。顔もそうだが、体つきや立ち振る舞いまで、とてもその雰囲気が出ている。

 

 映画は、ガンジーが南アフリカで行った公民権運動からはじまる。南アフリカから、というのが意外だったが、イギリス統治下のインド人は、世界各地のイギリスの植民地に行きやすかったのか。ガンジーもイギリスで学んだ後に、弁護士として働くために南アフリカに向かっている。

 

 

 その後は一貫して非暴力・不服従を貫くガンジーの姿が描かれていく。彼の姿勢を見ていると、この思想は何よりも過激だなと思い知らされる。暴力に訴えることはしないが、服従もせず、無防備な姿で主張していくことは、とてつもなく勇気がいることだ。弱い犬程よく吠えると言うが、よほどの心の強さがないと恐怖心に負け、思わず手を出してしまいそうだ。

 

 そんな過激な彼の運動に、インドの民衆が従ったのもまたすごい。殴られることが分かっているのにそれでも一歩前に足を踏み出す民衆の姿には心が震えた。そして、そんな彼らを統治側が虐殺するシーンは、酷すぎて見ていられなかった。イギリスがインドの人々をどう見ていたのかがよく分かる。

 

 最終的にインド独立まで成し遂げてしまうガンジーの偉大さは良く伝わって来たが、彼がどのようにしてこのような人になったのかがまったく描かれていないのは不満が残る。これではまるで、彼がもともと聖人として生まれてきたかのようだ。彼だって普通の人間で、この境地に至るまでにいろいろな葛藤があったはずだ。それも見せて欲しかった。

 

 独立を果たしたインドは、ガンジーの思いとは裏腹に、宗教的な対立から争いが絶えなくなる。一つの目標のために一丸となっていた集団が、目的を果たした途端にそれぞれのエゴが顔を出し、内紛を起こしてしまうのはよくあることだ。それを暴力で解決しようとするのも普通のことで、それだけにガンジーが非暴力で成し遂げてきた事がいかに奇跡的なことだったのかがよく分かる。

 

 3時間以上あり、ゆったりとしたペース、大きな視点で展開する物語だ。ガンジーの生きざまに胸を打たれて面白いことは面白いのだが、物語の強度、推進力が弱いので見続けるのは結構しんどかった。映画を通して関心を引き続けたのは、コミカルささえ感じる主人公の風貌の変化くらいか。公開当時と今とでは時間の流れの感じ方が違うのもあるのだと思うが、つら過ぎて一度に見られず、三回に分けてようやく見終えることが出来た。ガンジーが必要とした忍耐の何万分の一かを味わえたような気分だ。

 

 最初のシーンにつながっていく暗殺シーンは良く出来ていた。インドの雄大な風景や圧倒的な人の数など、目を見張るような映像もある。心がセカセカしていない時に堪能したい大作だ。

 

スタッフ/キャスト

監督/製作 リチャード・アッテンボロー

 

脚本 ジョン・ブライリー

 

出演 ベン・キングズレー/キャンディス・バーゲン/ジョン・ギールグッド/マーティン・シーン/ロシャン・セス/サイード・ジャフリー/エドワード・フォックス/トレヴァー・ハワード/ジョン・ミルズ/イアン・チャールソン/リチャード・グリフィス/ダニエル・デイ=ルイス

 

音楽 ラヴィ・シャンカル/ジョージ・フェントン

 

撮影 ビリー・ウィリアムズ/ロニー・テイラー

 

編集 ジョン・ブルーム

 

ガンジー (字幕版)

ガンジー (字幕版)

  • ベン・キングズレー
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ガンジー (映画) - Wikipedia

 

 

登場する著名人

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ジャワハルラール・ネルー/ヴァッラブバーイー・パテール/ムハンマド・アリー・ジンナー/マーガレット・バーク=ホワイト/エドワード・ウッド/フレデリック・セシジャー


 

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*直接作品名は出てこない

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