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「白鍵と黒鍵の間に」 2023

映画『白鍵と黒鍵の間に』

★★★☆☆

 

あらすじ

 ジャズピアニストを目指す男は、師匠に勧められ、バーやクラブで演奏をするようになる。

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 池松壮亮主演、仲里依紗、森田剛ら出演。ジャズピアニスト・南博のエッセイが原作、冨永昌敬監督。94分

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感想

 夜の街で演奏するミュージシャンたちの一夜を描いた群像劇だ。主人公はジャズピアニストで、働き始めの初々しい頃と、場数を踏んで貫禄が付いてきたその三年後、二つの時代の彼が登場する風変わりな設定になっている。

 

 二つの時代の主人公を対比させることで、上手くなりたいと情熱を燃やしていた新人が、現実に妥協して惰性で生きるようになってしまう物悲しさが表現されている。他のミュージシャンたちもその過程のどこかにいる。

 

 

 いくつものエピソードが同時に展開していくが、どのエピソードも面白くなっていきそうでそこまで面白くなっていかないのが残念だ。コテコテにしたくないのは分かるが、それでももう一声、何かが欲しい。寸止め感がある。

 

 中でも終盤にベテランのバンドマスターが主人公の決意を知ってしまった場面は、この後何かが起きると期待したのにたいした展開にはならず、それだけ?と拍子抜けしてしまった。どのエピソードも大体そんな感じだ。

 

 それに「ゴッドファーザー 愛のテーマ」を演奏してはならない、という物語の核となるネタが、ベタで面白みがないというのもある。エッセイが原作なので実話なのかもしれないが、そうでないなら凡庸すぎる。街を牛耳るヤクザの怖さもあまり伝わってこない。

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 心を込めて演奏したところで、夜の街にやってくる客たちは誰も自分たちの音楽なんて聞いていやしない、というミュージシャンたちの忸怩たる思いが描かれている。それを一夜で描くアイデアは面白いし、人々のざわめきなど夜の街の雰囲気もよく出ていたが、何かが足りない物足りなさを感じてしまう映画だ。悪くないが惜しい。

 

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本    冨永昌敬

 

脚本 高橋知由

 

原作 白鍵と黒鍵の間に: -ジャズピアニスト・エレジー銀座編- (小学館文庫 み 11-1)


出演 池松壮亮/仲里依紗/森田剛/Crystal Kay/松丸契/川瀬陽太/杉山ひこひこ/中山来未/福津健創/日高ボブ美/佐野史郎/洞口依子/松尾貴史/高橋和也

 

音楽 魚返明未

 

撮影 三村和弘

 

白鍵と黒鍵の間に - Wikipedia

 

 

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