★★☆☆☆
あらすじ
人間界に存在する6冊のデスノートを巡る3人の男の物語。
感想
シリーズとしては4作目なので、皆がその世界観を十分理解しているはずだという前提だからなのだろうが、映画の入り方がかなり雑。素っ気ない世界観の説明からのいきなりの本題。観客を十分に映画の世界観の中に引っ張り込む気があまりないように感じた。まるで愛想の悪い店のよう。
そんなスタートで、いきなり東出昌大演じるデスノート対策班の主人公が、デスノートで人が死にまくる街を切羽詰まった表情で駆け回られても、特に恐怖も感じないし頑張れとも思わない。池松壮亮演じるLの後継者とされる探偵が、主人公とケンカ腰で話しているのを見ても、なんでこの人こんなにイキっているのだろうと不思議なだけだし、菅田将暉演じるキラの信奉者にしたところで、そんな人がいるのねと思うだけ。置き去りにされた観客はただ眺めるしかない。
ストーリーも締まりがない。主要人物が三人いるからか、主人公対敵のじりじりとした一対一の対決というわけでもないし、三角関係で互いに影響を与え合うわけでもない。ただ三人の個別の物語が中途半端に描かれ、また互いが中途半端に絡むというだらだらとした展開になってしまっている。本当は、三人が一堂に会した時に一番盛り上がるようなプロットが理想だったはず。
そして物語の一番重要なアイテム「デスノート」もあまり効果的には使われていない。もうほとんど出来る事はやり尽くしてしまったという事なのだろうが、今回はデスノートは「使う」ものではなく、「集める」ものになってしまっている。だったら、それはデスノートじゃなくてもいいのでは?なんならドラゴンボールでも成立するのでは?と思ってしまった。
それにデスノートは、そこに名前を書かれた人が死ぬ、というもので、直接会って手を下すのが難しい刑務所内にいるような人物でも殺すことができる、というのが最大の特徴のはず。なのに今回はそんな使い方をされることはほとんどなく、目の前にいる人物に対して名前を書いて殺す、という使い方ばかり。それだったらどう考えても銃の方が効率的だ。
迫りくる相手を前に必死で名前を書きつける姿はなかなか滑稽だった。なんなのだ、この本末転倒感は。きっとこれは銃で人を殺すという発想がない、つまり銃社会ではない日本人だから陥る過ちなのだろう。
それから、なんの前振りもなく突然、孤立した主人公の前に捜査班のメンバーたちが現れて熱い絆を示したり、捜査班の女性がいきなり兄の恨みを晴らすと感情を爆発させたりと、こちらがポカンとなってしまうシーンが結構多かった。毎回、一瞬の間をおいて心の中でこだまする「いや知らんがな!」のツッコミに、一人で失笑というか苦笑をする羽目に。
本人の中では積もり積もったものかもしれないが、こちらからしたらいきなりだからビックリするだけ。そういうのはちゃんと伏線を張っておいてくれないと。一般社会の人間関係では割とよくある話だが。
最後の最後まで誰かに肩入れするでもなく、誰かに反感を覚えるでもなく、ただ皆さん必死に何かやってらっしゃるな、と傍観するだけの映画。
スタッフ/キャスト
監督 佐藤信介
原作 DEATH NOTE カラー版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
出演 東出昌大/池松壮亮/菅田将暉/藤井美菜/川栄李奈/青山草太/竹井亮介/大迫一平/金田明夫/戸田恵梨香/船越英一郎
沢城みゆき(声)/松坂桃李(声)/中村獅童(声)
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