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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「ハンナとその姉妹」 1986

ハンナとその姉妹

★★★★☆

 

あらすじ

 ハンナを中心にその姉妹や夫、元夫らに巻き起こるドラマ。

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感想

 ハンナとその姉妹を巡る人々の物語が展開される。ハンナの夫が彼女の妹に恋したり、もう一人の妹がままならない人生にもがいたりする様子などが短く区切られた章立てで順に描かれていく。

 

 どのエピソードもコミカルだが、中でも面白かったのはウディ・アレンが演じるハンナの元夫だ。悲観主義でいつかは死んでしまう恐怖に怯え、信仰にすがろうといくつもの宗教を渡り歩く。各宗教について真剣に学び、せっせと信仰グッズを買い集める生真面目さには思わず笑ってしまった。

 

 

 宗教なんて適当に都合よく利用すればいいのにと思ってしまうが、それでは気が済まないのだろう。ちゃんと理解できないと納得しない。無神論者が宗教にすがろうとするとこうなってしまうのかもしれない。盲目的に従わず、疑問があれば反論もする彼のようなタイプは、宗教側から見れば厄介で面倒くさい相手だろう。

 

 それから、男が妻の妹に恋をしたり、元妻が元夫に自分の妹と付き合うよう薦めたりと近親相姦的な気持ち悪さを感じてしまうエピソードが多いのが気になった。これは男兄弟にはあまり見られない姉妹の親密さを示しているのだろうか。仲良く何かを共有したり、一緒くたに見られてしまいがちな姉妹の特徴が見て取れる。

 

 これに加えて不妊の夫婦が友人夫婦に精子提供をお願いするシーンもあり、姉妹に止まらず小さなコミュニティがまとってしまいがちな薄気味の悪さを表わしていると言えるのかもしれない。そして大都会のニューヨークと言えども、人々は小さなかコミュニティの中で生きていることもよく分かる。

 

 いくつかの恋愛模様が描かれるが、恋する女性にどのようにアプローチしようかとあれこれ考えていた男が、いざその時になったら無心で動いてしまうシーンは劇的だった。難しく考えない方が上手くいくこともある。だが彼の行為は今の基準でいったら完全にアウトなので、ちゃんと超えてはいけないラインは見極めなければならないが。

 

 ハンナのまわりで皆が右往左往しながらも、結局はうまく収まるところに収まっていく物語だ。皆が勢ぞろいして大団円を迎えるラストも収まりがよく、いい余韻に浸れる。ニューヨークの美しい建物や多様な文化が映し出される映像も魅力的で、視覚的にも楽しめる作品だ。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/出演

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出演 ミア・ファロー/ダイアン・ウィースト/バーバラ・ハーシー/マイケル・ケイン/マックス・フォン・シドー/モーリン・オサリヴァン/キャリー・フィッシャー/サム・ウォーターストン/ジュリー・カブナーリチャード・ジェンキンス/J・T・ウォルシュ/ダニエル・スターン

 

ハンナとその姉妹

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  • ウディ・アレン
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ハンナとその姉妹 - Wikipedia

 

 

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