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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「暴走機関車」 1985

暴走機関車

★★★☆☆

 

あらすじ

 刑務所から脱獄した二人組が乗り込んだ機関車は、機関士が病気で倒れたために暴走を始めてしまう。

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感想

 脱獄した囚人たちのヒーローのタフガイと、彼に憧れる若者の二人組が主人公だ。序盤はタフガイが刑務所長の目の敵にされている様子が描かれ、その後、脱獄が始まる。この脱獄シーンはそれなりの緊張感はあったが、案外スムーズに成功してしまう。いくら何でも警備がガバガバ過ぎでは?と思ってしまうほどだった。

 

 脱獄には下水道を使うのだが、ここで若者がずっと臭いだの汚いだのと文句たらたらだったのが印象的だった。映画で下水道が使われることはよくあるが、あまりそういうことが言及されることはない。だからそうだよな、やっぱりそこはは臭くて汚いところだよなと改めて再認識できた。映画から生々しさが伝わってくる。

 

 そして列車に乗り込み安心する二人だったが、この機関車が機関士不在となって暴走を始めてしまう。運が悪い。ここから二人が列車を停めるために奮闘し、次から次とやって来る難関をクリアしていくのかと思ったのだが、それほどでもなかった。彼らがやったことと言えば先頭車両へ移動したことくらいだ。

 

 その代わりにクローズアップされるのは、極限状態の中で剥き出しになっていく二人の人間性だ。血気盛んで自意識過剰気味の若者とそれに苛立つタフガイ、二人がぶつかりチームワークに亀裂が入っていく。アクションというよりはヒューマンドラマの様相を呈してきた。

 

 

 その間も列車の暴走は続く。いつまでも暴走させるわけにはいかず、鉄道会社は最終手段として強引に列車を停める措置を決め、列車内の主人公らは見捨てられてしまう。刻一刻と彼らの終わりの時が近づく。

 

 そこに現われるのが脱獄囚を追う刑務所長を乗せたヘリコプターだ。状況が状況だけに鬼畜のようだった所長も人助けをするのだな、ヒューマンだな、と思っていたら、二人を殺すためにやってきたことが分かって驚いてしまった。放っておいても死ぬ状況なのに、わざわざ危険を冒して自ら列車に乗り込んで仕留めようとするなんてとんでもない執念だ。やっぱり鬼畜だった。

 

 二人がこの状況をどう脱するのかと手に汗握って見守っていたのだが、どうやらタフガイは助かることにはもう興味がなかったらしい。どうやって危機を乗り越えるかではなく、再び刑務所に戻るくらいならやっと手に入れた貴い自由を手にしたまま死にたい、というモードになっていた。

 

 自由を味わいながら最期を迎えようとする男の姿には崇高さがあったが、ちょっと期待していたものとは違った。もっと息つく暇もない展開で盛り上げた上でこの流れだったら深みを感じたかもしれない。だがこの時代のアクションとしては良く出来ている方なのだろう。タフガイが片手を潰してしまうシーンなどは生々しく、痛さが伝わってくるものだった。

 

 しかし、自由は何よりも尊いというメッセージも時代を感じるようになった。今だと死ぬかもしれない自由なんかよりも、多少窮屈で運が悪ければ看守に嬲り殺されるかもしれないが、それでも何も考えずに気楽に過ごせる刑務所の不自由を選んでしまう人の方が多いような気がする。案外自由はそんなに望まれていない。

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スタッフ/キャスト

監督 アンドレイ・コンチャロフスキー

 

脚本/出演 エドワード・バンカー

 

原案

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菊島隆三*/小國英雄*

*ノンクレジット


製作    ヨーラン・グローバス/メナハム・ゴーラン

 

出演 ジョン・ヴォイト/エリック・ロバーツ/レベッカ・デモーネイ/ジョン・P・ライアン/ケネス・マクミラン/タイニー・リスター・Jr./ダニー・トレホ

 

音楽    トレヴァー・ジョーンズ

 

暴走機関車

暴走機関車

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暴走機関車 - Wikipedia

 

 

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