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「ウディ・アレンのザ・フロント」 1976

ウディ・アレンのザ・フロント (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 1950年代アメリカ。赤狩りでブラックリストに載り、仕事にあぶれた脚本家たちに名前を貸したレジ係の男。

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感想

 赤狩りで生活に困った脚本家たちに名前を貸した男に巻き起こる物語だ。赤狩りという話題をテーマにしながらも、決して重くなりすぎず、ユーモラスに描いている。皆が思想信条を重んじて葛藤する中、ウディ・アレン演じる主人公だけがただひとり、人気脚本家としてチヤホヤされ、我が身に訪れた幸運を享受し、軽薄にも浮かれていているからか。

赤狩り - Wikipedia

 

 最初はただ彼らから脚本を受け取ってテレビ局に持っていくだけだったのに、そのうち自分の名前に傷がつくといけないからと、書き直しを偉そうに命じ始めたりして面白かった。いつのまにか彼らをゴーストライター扱いしてしまっている。

 

 

 しかし、そんな彼も実際に赤狩りの嵐の中の業界に出入りすることで、その現実を目の当たりにすることになる。特にブラックリストに載って仕事にあぶれたコメディアンの様子は、見ていて切なさで胸が苦しくなった。陽気に振舞いつつも苦境に焦り、唆されてスパイじみた行動を取ってしまったり、足元を見られて怒ったりと、人間味あふれる姿を見せている。喜劇人の哀愁がある。

 

 やがてついには、非米活動委員会に召喚される主人公。それまでは、ノンポリで実利主義の彼にしてみれば、自分には関係がない事で下らない事をやっているなという思いがあったのかもしれない。だけど、いざその場に身を置くことになった事で、ようやくその理不尽さに気づく。

 

 序盤でホロコーストを扱った脚本について話し合うシーンがあったのだが、あれはただブラックジョークを放り込みたかっただけなのではなく、もしかしたら他人事だと思って無関心でいたら、最終的にはこうなっちゃうよと示唆していたのでは、と深読みしたくなる。

 

 ラストは決してハッピーエンドではないが、自尊心を傷つけるような間違ったことはしなかった誇らしさが感じられる爽やかなエンディングだ。いい余韻に浸れる。

 

 しかし自由で民主的な国だと謳うアメリカが、冷戦下とはいえ、赤狩りなんてことを始めたとは皮肉だ。そして今、日本でも同じような事が起きようとしているのかもしれないなと暗い気分になってしまった。赤狩りというよりは、中国のやり方に近いのだが。映画を観ている間、何度も日本の現状を連想してしまった。

 

スタッフ/キャスト

監督/製作 マーティン・リット

 

出演

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ゼロ・モステル/マイケル・マーフィー/アンドレア・マルコヴィッチ/ダニー・アイエロ/ハーシェル・バーナルディ/レマク・ラムゼイ

 

ウディ・アレンのザ・フロント - Wikipedia

 

 

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