★★★☆☆
あらすじ
革命を果たすために、仲間と共に権力者の本拠を目指す主人公。
「ハンガー・ゲーム」シリーズ三部作の三作目で二部作の第二部。
感想
三部作の最後の作品だ。ついに主人公らが反転攻勢に出る。だがそれを迎え撃つ権力者が、余裕綽々だったわりにはたいした策がなくてがっかりだった。なんなら反乱軍の部隊内でハンガーゲームをせざるを得ない状況に追い込むのかくらい期待していたのにありがちな反撃しか見せなかった。
そして革命のクライマックスもスカされてしまう。ただ、これは敢えてそうしたのだろう。確かに独裁者を血祭りにあげれば盛り上がるのだろうが、それに浮かれてしまうと革命の本来の目的を見失ってしまう。体制を倒したら終わりではなく、ここからが重要だ。スタート地点に立ったに過ぎない。革命の熱狂で観客を間違った方向に導いてしまうことを恐れているかのような演出だった。
映画としてそれならそれでいいのだが、だったら別にもっと盛り上がるシーンを用意して欲しかったというのはある。おそらく地下道で主人公らが謎のクリーチャーたちと戦ったシーンがそれだったのだろう。このシーンはハンガーゲームのヒーローたちの共闘が見られて悪くなかったが、さすがにこれだけでは物足りない。特に後半は静かすぎると言ってもいい展開になってしまっている。
そして革命の裏で静かに展開していた二人の男の間で揺れる主人公の恋の行方だが、今回は完全に劣勢だった幼なじみの男にチャンスの時間が与えられる。だが今さらそんなものを与えられてもと思ってしまうような、すでに勝負ありの状態だった。二人の男に与えられた時間が不公平だったが、現実でもよくある話なのでこれはもう仕方がない。
独裁者を倒したらまた新たな独裁者が生まれただけ、というのは革命によくある皮肉だが、この映画ではその対処までしてしまっているので手際がいい。終始徹底して「革命」を描いている印象だ。シリーズを通して戦うことは悲しいことで、決して勇ましいものではないと強調しており、革命を成すには勢いだけではなく慎重さも大切だとのメッセージを感じる。
映画としてはともかく、革命のための手引きとしては良く出来たシリーズだったと言えるかもしれない。そのために作られたような映画だ。革命を目指す人なら見ておいた方が良さそうだ。日本人にこれが必要になる時はあるのだろうか?
スタッフ/キャスト
監督 フランシス・ローレンス
脚本 ダニー・ストロング/ピーター・クレイグ
原作 ハンガー・ゲーム3 上マネシカケスの少女 (文庫ダ・ヴィンチ)
製作総指揮 スーザン・コリンズ/ジャン・フォスター/ジョー・ドレイク/アリソン・シェアマー
出演 ジェニファー・ローレンス/ジョシュ・ハッチャーソン/リアム・ヘムズワース/ウディ・ハレルソン/エリザベス・バンクス/ジュリアン・ムーア/ジェフリー・ライト/スタンリー・トゥッチ/ドナルド・サザーランド/サム・クラフリン/ジェナ・マローン/マハーシャラ・アリ/ウィロウ・シールズ/ナタリー・ドーマー/エルデン・ヘンソン/ミシェル・フォーブス/グェンドリン・クリスティー/ロバート・ネッパー/サリタ・チョウドリー/メタ・ゴールディング
音楽 ジェームズ・ニュートン・ハワード
ハンガー・ゲーム FINAL: レボリューション - Wikipedia
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