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「ピーターの法則 「階層社会学」が暴く会社に無能があふれる理由」 1969

[新装版]ピーターの法則――「階層社会学」が暴く会社に無能があふれる理由

★★★☆☆

 

 階層社会学を提起した著者による、階層社会に見られる法則の解説。

 

 世の中に無能な人が多くいるように見えるのは、人は無能になるまで昇進を続けるから。有能に仕事をこなしていると昇進し、無能だと昇進しない。つまり、(降格がないのなら)最終的に人は皆、役割を果たせないポジションに居座り続けることになる。なるほど、と思ってしまう説だ。元々無能なのではなく、無能レベルに達したということか。

 

 年配の人間に無能な人間が多いように思ってしまうのはそのせいなのかもしれない。若い人はまだ無能なポジションまで辿り着いていない可能性が高い。世の中はまだ無能に辿り着いていない人々が、無能な人間をサポートすることで回っている。

 

 身分や家柄によって就ける役職が制限されている階級制社会のほうが無能は少ないという指摘も面白い。有能でも身分や家柄の低さにより、それ以上は昇進できなかった場合、その人はずっと有能でい続けられる。ただこんな解決の手段は今さらとれないので、新しい方法を考えなければいけない。

 

 

 ひとたび無能レベルに達してしまった人間は、無能ゆえに組織に様々な迷惑をかける。

しかし、無能レベルに達してしまった上司の場合は、組織の自己都合という尺度で、部下が有能かどうかを判断します。つまり、組織の規則や儀礼や様式を支える行動こそが有能の証とされるわけです。迅速であること、丁寧であること、年長者に礼儀正しく接すること、社内文書を適切に処理できることなどが高く評価されます。つまり、無能な上司は部下をインプット(取り入れたもの)で評価するのです。

p52 

 

 昇進は上司が有能と思う部下に対して行われるので、次第にアウトプットよりインプットを重視する人が昇進していく。これまでの慣例や形式に則っているかだけが重視され、これまで行われたことのない取り組みは敬遠されてしまう硬直化した組織が出来上がる。日本の社会でよく見られるような気がする現象だ。

 

 様々な角度から階層社会を考察し、軽い雰囲気の文章も読みやすく、階層社会に対するジョーク本とも、逆に利用すれば出世するための処世術が書かれた本とも言えるような、面白い内容となっている。ただ、基本的には一つのことをずっと言っているのに過ぎないので、後半は若干飽きてしまう部分はあった。

 

著者 ローレンス・J・ピーター/レイモンド・ハル

 

[新装版]ピーターの法則――「階層社会学」が暴く会社に無能があふれる理由

[新装版]ピーターの法則――「階層社会学」が暴く会社に無能があふれる理由

 

 

登場する作品

マコーリー英国史〈革命の部 上巻〉 (1948年)

オセロー (新潮文庫)

ルバイヤート (岩波文庫 赤 783-1)

人間論 (岩波文庫 赤 224-1)

Sydney Smith's Essays (Classic Reprint)

鏡の国のアリス (角川文庫)

パーキンソンの法則 (至誠堂選書)

森の生活〈上〉ウォールデン (岩波文庫)

 

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