★★★☆☆
あらすじ
前作でハンガーゲームに勝利した主人公だが、体制に対する反抗的な態度を権力者に疎まれ、再びハンガーゲームに参加させられてしまう。
感想
序盤は、主人公らが体制に反発を示すシーンが続く。個人的には単純にバトルロワイヤルを楽しみたい気持ちがないわけでもないが、考えてみれば「誰かが殺し合えと言ったから殺し合いました。」では、これほど主体性のないことはない。なぜこんなことをしなければいけないのだ?と異を唱えるのは当然のことなのかもしれない。いや権威主義に抗うためにも異を唱えるべきだろう。
主人公は、体制が主催した殺し合いのハンガーゲームに勝利したのだから、本来は社会のヒーローとして取り扱わなければならない人物だ。しかし、そんな人物に反体制的な態度を取られてしまうと、権力者にとっては厄介な存在となる。戦争のヒーローが反戦を訴えるようなものだろうか。体制側は、彼女を世間の反発を招かずに排除するため、再び彼女をハンガーゲームに参加させることを決める。
主人公は当然それに反発するも、参加せざるを得ない。それでもゲーム前のセレモニーの場で他の出場者と連帯して不満を表明して見せたりと、なんとか反発の姿勢を示し、反骨心を見せている。だがいざゲームが始まると、躊躇なく全力で相手を殺しに行っていて、ちょっと笑ってしまった。しかし、いくら自分がそんなことはやりたくないと主張しても、相手はそんなのお構いなしに殺しに来るのだから当然といえば当然だ。やられる前にやるしかない。
主人公は、理想だけでは生きていけないことを理解しており、現実的な姿勢を示したと言えるだろう。これも平和主義者が戦場に行けば敵を殺してしまうのと似ている。理想と現実の中でどう生きるべきか、色々と考えさせられるストーリーだ。
主人公はしっかりとゲームに適応するが、完全な無差別の殺し合いになったわけではなく、一部の出場者と協力し合いながら生き残っていく。相手をどれほど信用するべきなのか、疑心暗鬼になりながらも絆を深めていく様子は見ごたえがあった。この先、彼らがいつ袂を分かち、どのような対決に発展していくのかと興味深かった。
だが、バトルロワイヤルとしては中途半端な形でゲームは終わってしまう。前作と違い、単純な殺し合いを描くことがメインでないことは分かっており、序盤にしっかりと前振りもあったので、そこまでがっかりはしなかったが、それでもやはりゲームに対する消化不良感は残った。
そして迎えるエンディングは、三部作の真ん中の二作目らしい結末だった。ハンガーゲームよりももっと大きな戦いが待ち受けていることを暗示し、最終作への期待を高めている。最終作が実は2部構成であることを後で知って、えっ?と思ってしまったが。
主人公が本命の男をほったらかし、恋人同士だと世間を偽っている別の男とどんどんと関係を深めていくので、その恋がどこに向かうのか、地味に気になるようになっている演出も上手い。これだけが気になってシリーズをすべて見る人もいるかもしれない。
スタッフ/キャスト
監督 フランシス・ローレンス
脚本 サイモン・ボーファイ/マイケル・アーント
製作総指揮 スーザン・コリンズ/ジョセフ・ドレイク/ルイーズ・ロズナー/アリソン・シェアマー
出演 ジェニファー・ローレンス/ジョシュ・ハッチャーソン/リアム・ヘムズワース/ウディ・ハレルソン/エリザベス・バンクス/レニー・クラヴィッツ/ジェフリー・ライト/スタンリー・トゥッチ/ドナルド・サザーランド/トビー・ジョーンズ/ウィロウ・シールズ/サム・クラフリン/ジェナ・マローン/アマンダ・プラマー
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