BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「悼む人」 2015

悼む人

★★☆☆☆

 

あらすじ

 事件や事故で死んだ人を悼む旅を続ける男に、夫を殺してしまった女性が付き従うようになる。138分。

 

感想

 各地で死者を悼みながら旅を続ける男が主人公だ。だが正直、彼がなんでそんなことをするのか分からない。独善的だ、意味ない、みたいなことを色々言いたくなるが、賛否あることは本人が十分理解しているし、別に誰かに賞賛してもらいたいわけでもなく、ただ自分がやりたいからやっている、というスタンスのようだ。

 

 それなら特に何も言えないなとは思うのだが、それでもやっぱり、なんで事件や事故で死んだ人だけ?病院で毎日のように死んでいく人たちは悼まないの?とか、言いたくなってしまう。

 

 

 主人の行動に説明が必要ということもあり、序盤はスローペースだ。チープな映像に、一つ一つ省略することなくじっくりと描いていく展開に、これは酷い映画になりそうだと嫌な予感がしたが、思っていたよりは酷くなかった。ただ序盤の重たい空気の中で、石田ゆり子はじめ役者陣が、出演しなきゃよかった…みたいな浮かない顔をしているような気がして仕方がなかった。

 

 主人公と周辺の人々の様々なドラマが展開されるが、タイトルからも分かる通り、中心となるテーマは「死」についてだ。だがそこで展開されるものが、平凡というかありきたりというか、とにかく普通過ぎて面白みがない。非常に真面目だ。いや別に真面目でもいいのだが、そんな見方も出来るのか、みたいな新たな視点ぐらいは欲しかった。ラストの、死に子供の誕生をかぶせてくるあたりもあまりに凡庸で、ため息が出た。

 

 途中で何度か登場人物たちが号泣するシーンがあり、つまりそれは泣かせたいシーンなのだろうが、全然心を動かされることはなかった。ふいに心を掴まれるのではなく、そりゃ本人は泣くだろうね、というシーンばかりだ。映画が長過ぎるので、これらのエピソードを一つか二つカットして、2時間以内に収めた方が良かった。

 

 最初は不可解だった主人公の行為が、物語が進むにつれて次第に理解できるようになっていくのかと思ったが、結局最後まで何も変わらず、当初の「よく分からない人」のままで終わってしまった。とにかくまともことしかやらないので、ほぼ宗教映画みたいだ。あるいはそれをパロディにするも失敗してしまった長いコントか。

 

スタッフ/キャスト

監督 堤幸彦

 

脚本 大森寿美男

 

原作 悼む人

 

出演 高良健吾/石田ゆり子/井浦新/貫地谷しほり/椎名桔平/山本裕典/麻生祐未/山崎一/眞島秀和/佐戸井けん太/甲本雅裕/堂珍嘉邦/大島蓉子/上條恒彦/戸田恵子/大後寿々花/平田満

bookcites.hatenadiary.com

 

音楽 中島ノブユキ

 

悼む人

悼む人

  • 高良健吾
Amazon

悼む人 - Wikipedia

悼む人(R15+) | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com