★★★☆☆
あらすじ
恋人がニューヨークに行ってしまって落ち込むカメラマンの女は、ある日ふらりと地元に立ち寄る。元はSPANK PAGEの宣伝用映像として撮影されたもの。菅野ぱんだの写真集「1/41 同級生を巡る旅」にインスパイアされたものでもある。
感想
この映画がどういう経緯で作られたのかはよく分からないが、長尺のミュージックビデオとして作られたものに素材をつけ足して映画化したという事なのだろうか。ドラマチックな出来事はたいして起こらず、ミュージックビデオらしい淡々とした薄めの物語となっている。登場人物たちの心情も割と言葉で説明しちゃう親切設計でもある。物語を楽しむというよりも、いろんな安藤サクラを楽しむ映画と言えるかもしれない。見ていてふと思ったが、安藤サクラは映画の中でだらだらしがち。
恋人がニューヨークに行ってしまい一人になった安藤サクラ演じる写真家の主人公が、カメラ片手に故郷に戻るというストーリー。主人公は、時おりカメラを構えながらフラフラと歩き続ける。道で出会った子供や主婦、店の人などにもカメラを向け、そしてずんずんと学校の中にも入って行ったりするのだが、これは彼女が女だから成立するのでは?と思ってしまった。これが男だったら怪しい人扱いされて警察沙汰になりそうな気がする。でもこういう写真を撮るカメラマンというのはだいたいこんな感じだろうから、男女限らずカメラマンは人柄がものを言うのかもしれない。この主人公も人と接するときはやたらヘラヘラして、警戒心を抱かせないようにしていた。
恋人と離れ離れになった寂しさを我慢していた主人公が、ついに感情を爆発させた運動場のシーン。ここで物語の内容とシンクロするようなSPANK PAGEの曲「koi」も流れて、ミュージックビデオとしては一区切りがついた感があった。関係ないが最近の日本のアニメ映画はこういう形式が多くて辟易している。この後、主人公がかつての同級生たちの写真を撮り始めるのは、映画用につけ足した部分なのかなという気がした。
ラストは彼女の撮った写真をスライドショー的に流しながらエンディング。使われたのが同級生の写真だったのは、この映画が写真集「1/41 同級生を巡る旅」にインスパイアされたからでもあるし、かつて同じ時間を過ごした仲間が今はそれぞれの道を歩いている、だから自分も頑張ろうという事でもあるのだと思うのだが、ちょっと取って付けた感があった。どちらかと言うとこれよりも、主人公が道すがらに撮っていた街歩きのスナップ写真が見たかった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 廣木隆一
出演 安藤サクラ/柄本佑/菜葉菜/高良健吾/安藤玉恵/櫻井りかこ
音楽 SPANK PAGE