BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「さらば映画の友よ インディアンサマー」 1979

さらば映画の友よ インディアンサマー

★★★★☆

 

あらすじ

  映画好きという同じ趣味を持つおじさんと仲良くなった浪人生。

 

感想

  映画館で起きたちょっとした出来事で知り合い、そこから映画の話で盛り上がり、別れ難くなって東京から沼津の主人公の家まで付いてきてしまう映画好きのおじさん。冷静に考えると怖いが、その過程の別れ難い感じが上手く描かれている。そして、そのまま主人公の住む町で仕事を見つけ、そのまま住み始めてしまう。これはガチで怖い。でも演じる川谷拓三のあのどこか犬っぽい、いつもニコニコした顔を見ていたら、しょうがないなあという気になってしまう。

 

 主人公は若者らしく、女性と恋に落ちる。浅野温子演じるその女は、やくざの男と付き合い、いつも何をしているのか分からない一筋縄でいかない女性だ。しかし彼女が女同士で喧嘩となり、カミソリの刃を取り出した時には、さすがに時代を感じてしまった。でもよく考えてみると、今こういうタイプの女は何を武器にしているのだろう。自らは戦わず、手持ちの男をポケモンのように呼び出して戦わせているのか。

 

 ままならぬ恋に悩む主人公を気に掛ける映画好きのおじさんだが、そんなに役には立っていないような気がしないでもない。そんな中、父親に勧められて海外旅行に行った主人公。帰ってきたらすっかり女の事などどうでもよくなってしまっていたのは、分かるような気がする。喫茶店の常連客が言っていたように、世界の広さを知ることで、自分の抱えていた悩みがいかにちっぽけだったかを思い知る事はよくある。そんな視野の狭さをそっと教えてくれた室田日出男演じる父親。彼はもう一方で、母親のように口うるさい面も持っていて、そのギャップが面白かった。

 

 映画は原田眞人の初監督作品だけあって、熱量を感じる作品となっている。なんでもないようなシーンでも妙に印象に残るシーンがいくつもあって、こういうところにセンスが表れているのだろうなと思わせられた。特に、酔っぱらった浅野温子演じる女が、セクシーなドレスを着てフラフラと千鳥足で歩くバックショットはグッと来た。劇中で使われている昭和の曲たちも良い。

www.youtube.com

 

 映画好きのおじさんは、映画そのものを象徴しているような存在だろう。映画の中の人物のように、ドラマチックにロマンチックに生きようとしている。彼のように、映画のように生きられるほど人生は単純ではないが、映画で学んだ精神は常に心に秘めて生きて欲しい。そんなメッセージが伝わってくるラストには胸が熱くなった。映画への愛を感じる作品。

 

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 原田眞人

 

出演 川谷拓三/重田尚彦/浅野温子/鈴木ヒロミツ/トビー門口/山口美也子/石橋蓮司/室田日出男

bookcites.hatenadiary.com

 

音楽 宇崎竜童

 

さらば映画の友よ インディアンサマー - Wikipedia

さらば映画の友よ インディアンサマー | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

登場する作品

タイトルバックで映画の看板が使われる 

bookcites.hatenadiary.com

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com