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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「おかしな奴」 1963

おかしな奴

★★★★☆

 

あらすじ

 兵隊に憧れるも徴兵検査で不合格にされた男は、家を出て落語家を目指す。終戦直後に人気を博した落語家・三遊亭歌笑(三代目)の伝記映画。

三遊亭歌笑 - Wikipedia

 

感想

 落語家の三遊亭歌笑の人生を描く物語だ。まったく存在すら知らなかった人だが、当時は「昭和の爆笑王」と呼ばれて大人気だったらしい。そんな一世を風靡した人気者なのに、50年も経てばほぼ誰も知らない存在になってしまうわけだから、歴史に名を残すのがいかに難しいことなのかがよく分かる。

 

 主人公を演じるのは渥美清だ。本人に寄せてはいるのだろうが、落語のシーンなどは彼の語りの素晴らしさが活かされていて、普通に聞き入ってしまう。声は聞き取りやすく、調子も良く、スッと頭に入ってくる。これぞ話芸というものだろう。

 

 師匠や兄弟弟子、演芸場の連中など、様々な人たちに囲まれて、主人公が成長していく姿が面白おかしく描かれていく。そんな中で印象的だったのは、主人公が想いを寄せる若い女性を演じた三田佳子だ。

 

 

 自分の中では中年の頃のイメージが強い彼女だが、若い頃は普通にヒロインぽさのある美女だったのだなと感心してしまった。当たり前と言えば当たり前なのだろうが。特に戦争で変わってしまい、ケバケバしい格好をするようになってからはそれがますます際立っていた。今の若い女優と比べても遜色がない。しかも細い。

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 主人公は、変わらざるを得なかった彼女や、徴兵を苦にして心を病んだ兄弟子を見て、戦争やそれを始めた国家に対して反感を示している。非常時になれば真っ先に不要とされてしまう彼のような商売だと、敏感にならざるを得ないところもあるのだろう。そしてそんな時代の空気を感じ取る力や、それを笑いに変えられる力がなければ売れることはない。

 

 同業者の嫌がらせにも屈することなく、己の道を見つけ、それを貫いて売れていく主人公の姿には胸が熱くなる。そして散々苦労させた妻にもようやく楽をさせられるようになったとホッとした矢先、散々フラグを立てた後にやって来るあまりにも悲しい出来事には言葉を失ってしまった。これもまた戦争がなければ起きなかった悲劇だ。彼の人生に思いを馳せてしまう。

 

 

スタッフ/キャスト

監督 沢島忠

 

出演

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加藤嘉/清川虹子/南田洋子/坂本武/三田佳子/石山健二郎/佐藤慶/春風亭柳朝(5代目)/田中邦衛/十朱久雄/渡辺篤

 

おかしな奴[公式] - YouTube

 

 

登場する人物

三遊亭歌笑(三代目)

 

 

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