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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「狂った果実」 1956

狂った果実

★★★★☆

 

あらすじ

 弟が付きあい始めた女性に惹かれてしまった享楽的に生きる兄。

 

感想

 金持ちの子弟たちの享楽的な暮らしが描かれており、そんな生活にどっぷり浸かる石原裕次郎演じる主人公の兄と、それを批判的に見つめる津川雅彦演じる弟、そして二人の前に現れた謎の美女の三人による物語が展開される。

 

 主人公は日中はボートで遊び、夜は仲間とクラブなどに出掛けては女性をひっかけたり、喧嘩をしたりして享楽的に過ごしている。器量のよくない女性を「雑魚」と言い放ってしまうくらいには増長した嫌な男だ。

 

 

 主人公とその仲間たちは、新しい時代の新しい生き方をしているつもりなのかもしれないが、傍から見れば恵まれすぎて何も考えなくていいだけの、暇を持て余した若者でしかない。彼らが何を主張したところで、それは恵まれているから言えるだけ、と反論すれば済んでしまいそうな気すらする。

 

 主人公の弟は、そんな兄の生き方に反発している。彼は兄とは対照的に生真面目ということになっているが、これも傍から見れば彼もまた不良みたいなものだ。普通にボートや車を乗り回し、パーティーにはめかしこんで現れ、女性とも付きあう。ただこれが金持ちの普通の暮らしぶりだと言われればその通りかもしれないが。確かに弟は兄のように享楽的ではなく、純粋な心を持っている。

 

 ちなみにこの映画は、弟役の津川雅彦の本格デビュー作だ。当時16歳の彼はまだ幼さが残る顔で、晩年の独特の存在感を放つおじさんのイメージが強い自分にとっては、彼にもこんな幼い時代があったのだなと、なかなか新鮮だった。まだ個性的な声やアクの強い演技は見られず、男前ではあるが普通の少年だ。

 

 やがて二人の前に現れた謎の女性が、仲の良かった兄弟の関係を裂くことになる。この女もまた兄と同様に、享楽的な生き方をしている。結局、暇を持て余しスリルを追い求める裕福な若者たちの戯れを見せつけられているだけのような気がしてくるが、刹那的な彼らの生き様や、映画に漂う退廃的な雰囲気には惹き付けられるものがある。

 

 またこだわりの感じられるカメラワークや照明、そして気怠く流れる音楽も良い。この映画は、フランスのヌーヴェルバーグに影響を与えたとも言われているが、それもなんだかわかるような気がする。

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 最後はジョーズばりの恐怖を与えられてからの衝撃の展開で幕を閉じる。そして心に漂い始めるのは虚無感だ。決してスッキリとする結末ではないのだが、この後味の悪さは嫌いじゃない。

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スタッフ/キャスト

監督    中平康

 

脚本/出演    石原慎太郎

 

原作    狂った果実

 

出演 石原裕次郎/北原三枝

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岡田眞澄/長門裕之


音楽 佐藤勝/武満徹

 

撮影 峰重義

 

狂った果実

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狂った果実 (小説) - Wikipedia

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