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「喜劇急行列車」 1967

喜劇急行列車

★★★☆☆

 

あらすじ

 東京発長崎行きや鹿児島行きの寝台特急列車で車掌を務める男。「列車シリーズ」第1作。

 

感想

 寝台特急の車掌の仕事を紹介しつつ、列車内を中心に起きる様々な出来事をコミカルに描いた喜劇。主演の車掌を演じる渥美清がまるで寅さんのようだが、ここでの彼はちゃんと結婚し子供もいて浮世離れはしておらず、善良なる庶民の代表のようなキャラクターだ。車内で起きるちょっとした事件にあたふたしながらも、誠実に対応しようとする人情味あふれる姿に思わず笑いがこぼれる。

 

 そしてマドンナ的存在として登場する佐久間良子が美しい。昔の映画の方が女優の美しさにハッとすることが多いような気がするが、これは当時のかっちりとしたキメキメのファッションが影響しているような気がする。美しい顔が前提のスタイルだからそういう人は際立つし、そうじゃない人にとってはそうじゃないことが際立ってしまい、両者の落差はより大きくなる。現在のラフなスタイルは、そうじゃない人もそれなりに見えてしまうようになっているので、逆に本当の美人には不利な状況なのかもしれない。そう考えると、今のファッションは誰もがそれなりに楽しめるように発展してきたともいえる。資本主義、大量消費社会が庶民にもたらした幸福の一つといえるのかもしれない。

 

 

 主人公が子供に「特急」「ふじ」「つばめ」「さくら」と、鉄道にちなんだ名前を付けているのは面白かったが、普通に子供が4人もいるのだなというちょっとした驚きもあった。でもこれくらい子供がいないと人口は増えないわけで、だとすると今の日本の人口減少問題がどれだけ深刻な事なのかがよくわかる。あちこちに当たり前のように子供4人を引き連れて歩く家族がいる社会なんて全然想像できない。いまだと子供が3人いると聞いただけでも子だくさんだなと思ってしまうというのに。

 

 そんな古き良き時代の日本社会が垣間見られる映画。これから発展しようとしている日本各地の風景が車窓から見られて、それだけでなんだか感慨深いものがある。古い列車車両や鉄道施設も登場するので鉄道好きはそれだけでも十分に楽しめるはずだ。大きなストーリーがあるわけではなく、いくつかのエピソードをつなげただけのような映画だがそれなりに笑えて、気楽に観るにはちょうど良いコメディ映画となっている。

 

スタッフ/キャスト

監督 瀬川昌治

 

出演

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佐久間良子/鈴木やすし/大原麗子/関敬六/Wけんじ/三遊亭歌奴/西村晃/小沢昭一/江原真二郎/楠トシエ/岡崎二朗/左卜全/小林稔侍

 

音楽 木下忠司

 

喜劇急行列車 - Wikipedia

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