★★★☆☆
あらすじ
妻を亡くして気力を失っていた元泥棒の老人は、持ちかけられた話に乗り、かつての仲間を集めて再び宝石泥棒を決行する。
2015年にロンドンで実際に起きた「ハットンガーデンの貸金庫強盗」を基にした作品。イギリス映画。
感想
老齢となったかつての宝石泥棒たちが集まり、再び犯行に乗り出す物語だ。冒頭から小粋で軽妙な雰囲気で、主要メンバーたちの姿が描かれていく。だが雰囲気だけで情報は少なく、要領を得ない内容がダラダラと続くだけになってしまっている。時間をかけたわりには、主人公はじめメンバーらがどんな人物なのか、詳しいことはさっぱり伝わってこない。犯行へとつながっていく話の道筋もよく見えなかった。
この歩留まりが悪い時間帯にやろうとしていたのはおそらくコメディーだ。洒落たジョークで笑いを取っているつもりなのだろうが、実際は笑いどころが曖昧で、ポカンとしたまま笑えない時間が過ぎていくだけだった。もしかしたらブラックなイギリスジョークの感覚がうまく伝わっていない可能性もある。主人公たちは老齢なので、年寄りジョークが多い。
トラブルがありながらもなんとか犯行を成功させた老人たちだったが、分け前をめぐって仲間割れが起きてしまう。それまで老人らしく、どこか抜けてるお茶目な雰囲気を見せていたメンバーたちが、冷酷で抜け目のない一面を見せるようになり、急に怖くなった。なんだかんだで腐っても鯛だ。ナメていたら痛い目に合う。この映画は老人の気概を描いた物語と言えるかもしれない。
この仲間割れにどんな決着がつくのかと興味津々で見ていたのだが、びっくりするほどグダグダな結末が待ち受けていた。だが、実話をもとにしているので仕方がない部分はある。ちなみにこの仲間割れのパートも雰囲気重視で、詳しい状況はいまいちわからなかった。
終始、思わせぶりな展開が続く映画だ。劇中で使用される音楽にはセンスを感じたが、かえって内容の乏しさを際立たせるだけになってしまっている。
スタッフ/キャスト
監督 ジェームズ・マーシュ
出演 マイケル・ケイン/ジム・ブロードベント/トム・コートネイ/チャーリー・コックス/ポール・ホワイトハウス/マイケル・ガンボン/レイ・ウィンストン/フランチェスカ・アニス