★★★☆☆
あらすじ
麻薬潜入捜査官としてバイカー集団に加わることになった男。実話を基にした物語。
感想
事前の情報として、ひげ面で後ろ髪だけ伸ばしたチャーリー・シーンのビジュアルしか見ていなかったので、てっきり面白コメディーなのかと思っていた。タイトルも馬鹿っぽいし。実際はシリアスな潜入捜査ものだった。
上司と衝突してクビになった後、スカウトされて潜入捜査官になった主人公は、捜査対象の集団と接触を図ろうとするもなかなかうまくいかない。自棄になった主人公が酒場で見知らぬ男に愚痴をこぼすのだが、身分や目的まであけすけに話していてドキドキしてしまった。
結局それがきっかけとなって潜入に成功するわけだが、そんなオープンに話しちゃ駄目なんじゃないの?とこちらが心配になった。潜入先のリーダーとも警察官時代に一度顔を合わせているのに、最初の対面の時に気付かれるかもと全然恐れてもいないし、ちょっと主人公の精神状態を疑ってしまう。でも、それくらい堂々としていた方が逆に疑われない、という事なのかもしれない。
最初はコミカルなシーンもあるが、次第にシリアスな展開になっていく。主人公があまりに品行方正過ぎて仲間たちに反感を抱かれてピリつく場面や、ヤバい時はあえて率先して仲間が引くくらい激しくやるという潜入捜査官あるあるのシーンもあったりして、なかなか緊張感のある展開だ。ただおおむね順調に捜査は進む。
主人公を演じるチャーリー・シーンが、いつもの真顔で何を考えているのか分からない所が良い。主人公の行動が潜入捜査官としての演技なのか、我を失ってミイラ取りがミイラになってしまっているのか、だんだん分からなくなる。それから、主人公と次第に絆を深めていく、バイカー集団のリーダーを演じるマイケル・マドセンの不敵な面構えも良い。そして、関係ないがトレーラーハウスが良く似合う。
本当の自分と潜入捜査官としての顔という二面性に加えて、表の自分と幼少期のトラウマや心の闇を抱える裏の自分との対比も描いていて、意外と深みのある内容となっている。ただ、何となく言わんとすることは分かるのだが、その雰囲気だけでうまくまとまってはおらず、イマイチ伝わってこない消化不良感はある。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ラリー・ファーガソン
出演 チャーリー・シーン/リンダ・フィオレンティーノ/マイケル・マドセン/コートニー・B・ヴァンス/レオン・リッピー/リップ・トーン