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「キスより簡単」 1989

キスより簡単

★★★☆☆

 

あらすじ

 母親の奔放な性格のおかげで自分の父親が誰か分からない女は、自身も奔放な生活を送るようになる。

 

感想

 母親が奔放で、すべて父親が違う四姉妹の三女が主人公。さらに、主人公の父親は母親が当時付き合っていた三人の男性のうちの誰か、というこれまた複雑な状況。なかなかすごいなと思ってしまうのだが、父親が複数という形式は意外とよく見るので、実はそんなに珍しくないパターンなのかもしれない。

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 母親からすれば、自分が父親かもしれないと思っている男が三人もいて、彼らがみな子育てに協力してくれたら色々と捗る。一人の男に頼るだけだと、万が一、男が非協力的だったり早くに死んでしまったりすると一気に詰んでしまうが、これならリスクを分散することが出来るので戦略としてはかなり有効だ。実際、若くして死んでしまった母親の代わりに三人の男が経済的に援助しているので、この姉妹たちが路頭に迷うことはないはずだ。

 

 そんな環境で育ったせいか、主人公は自身も奔放な性格となり、誰とでも寝るような生活を送っている。そういう面で自由であろうとする女性は物語ではよく登場するのでさして珍しくはなく、人によって意見は様々だろうが、個人の自由だから好きにすればいいのではと思うだけで、特になんとも思わない。ただ、相手が兄かもしれない男や父親かもしれない男でも気にしないというのはさすがに突き抜けていて、観ていて少し気分がゾワゾワする。これも言ってしまえば個人の自由なのだが、さすがにこのハードルはなかなか超えられない。

 

 

 クライマックスは、主人公をめぐって父親かもしれない男に兄かもしれない若い男が対峙するシーン。だが、正直、若い男が何をしたくて男に挑んでいるのかよく分からなかった。「俺は血のつながりがあろうと気にせず彼女と付き合っていく覚悟がある」と宣言したかったということなのか。なんとなく雰囲気だけでそれっぽくやっているだけのようにも思えてしまった。

 

 最後は、なんだかんだでやっぱり血のつながりがある者同士はやめておいた方が良さそうだね、みたいな締まらない展開。そんな狭い世界でぬるい事やってないで、もっと広い世界に目を向けようというメッセージか。急に社会派風になるエンディングは、かなり強引に思えた。

 

スタッフ/キャスト

監督 若松孝二

 

脚本 小水一男

 

原作 キスより簡単(1) (ビッグコミックス)

 

出演

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早瀬優香子/石渡譲/小河麻衣子/杉浦幸/山迫亜美香/河原崎長一郎/室田日出男/石橋蓮司/篠原勝之/小林かおり/佐野史郎/田中みお/川上泳

 

音楽 ジョー山中

 

キスより簡単

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