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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「ボディ・バンク」 1996

ボディ・バンク【字幕版】 [VHS]

★★★★☆

 

あらすじ

 緊急搬送された患者の異常な容態に関心を持った医師は、詳細について独自に調査を始める。原題は「Extreme Measures」。

 

感想

 医師である主人公が、ある患者の異常な容態とその後の不可解な処置に関心を持った事から始まる物語。主人公は知らないうちにある組織の極秘計画の内情に迫っており、それを恐れた組織の策略により、自身のキャリアを台無しにされてしまう。観客はそんな背景に気づいているので、主人公が誰彼構わず気になっていることをペラペラしゃべる姿にハラハラしてしまうのだが、普通はまさか背後に巨大な陰謀が渦巻いているなんて思わないから仕方がない。

 

 それに、真相を探る主人公の行動もかなり脇が甘い。警戒心がほとんど無く、尾行や盗聴など周囲の目をほとんど気にしていない。これもまた、その手の特別な訓練を受けているわけではない普通の医者なので仕方がないか。クライマックスのエレベーター内の格闘から始まる一連の出来事も、相手のことを全然気にしていなかったのだから、そりゃそうなっちゃうよと思ってしまった。でもだからこそスリルがあるのだが。

 

 

 そして、主人公が迫るジーン・ハックマン演じる医師の率いる組織が、決して純粋なる悪の組織ではなく、彼らなりの善のためにやっているという設定なのが良い。彼らの言い分を聞いていると、完全には否定できないような気になってしまって動揺させられてしまう。こんな事なら躊躇なく叩ける完全な悪者であって欲しかったと思ってしまうのだが、世の中で起きている対立も大抵これで、正義対もう一つの正義という構図。だからこそ解決することは難しい。相手の説得に、自分は思わず丸め込まれそうになってしまったのだが、そこで主人公が迷いなくスパッと一刀両断してくれたのはカッコ良かった。頭の中のモヤモヤが一気に晴れた。

 

 エンディングでは、そんな高潔な主人公にある資料が手渡される。倫理的に問題のある方法で手に入れた有用な情報は活用してもいいのか?という難題をいきなり突き付けられて、色々と考えさせられてしまう。主人公は研究棟前の往来の激しい狭い門でこれを受取り逡巡するのだが、とりあえず通行の邪魔だからそこをどいた方がいいのでは?と気になって仕方がなかった。だがきっとこれは、その資料を門の内側に持ち込むのかどうかということを、視覚的に表現しているのだろう。

 

 緊張感が最後まで保たれる良質なサスペンス、そして深いテーマ。背後に流れる音楽もオーソドックスではあるが格調高く、映画的雰囲気を盛り上げてくれてとても良かった。かなり見ごたえのある映画となっている。

 

スタッフ/キャスト

監督 マイケル・アプテッド

 

脚本 トニー・ギルロイ

 

原作 ボディ・バンク (福武文庫)


製作 エリザベス・ハーレイ

 

出演

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サラ・ジェシカ・パーカー/デヴィッド・モース/ビル・ナン/ポール・ギルフォイル/J・K・シモンズ/デヴィッド・クローネンバーグ

 

音楽 ダニー・エルフマン

 

撮影 ジョン・ベイリー

 

ボディ・バンク - Wikipedia

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